マクロビオティックコラム

理論を考えすぎて突き抜け、もっと自由な境地へ~マクロビオティック実践記17

シェアする

2008年12月。マクロビオティック開始から一年八ヶ月。

中庸を保ちたいと躍起になり、毎日陰陽のことばかり考えて苦しんでいた時期が、自然と終息した。

考えて、考えて、考えすぎたおかげで、どこか別のところへ突き抜けた感覚があった。

陰陽を気にしすぎて自由ではなくなったのを、理論を詰め込みすぎたためだと思い、何も知らなかった頃に戻りたいなんて泣き言をもらしたこともあったのに。

突き抜けてみてわかった。マクロビオティックの理論で頭をいっぱいにしたからこそ、毎日の生活で起きる心身の変化を的確に分析でき、実践を「生きた理論」に変えて蓄えていくことができたのだ。

その蓄えが積み重なり、自分なりのマクロビオティックにやっと自信が持てるようになった。

これが、もし理論の裏付けがなければ、体調が変化してもその理由がわからないから、手探りの状態が続いて、マクロビオティックを自分のものとするまで逆に時間がかかってしまっただろう。

オモテ大なればウラもまた大なり。深く苦しんだ分、思ってもみなかったような高みへ来ることができたのだ。

理論が実践につながり、実践が理論を深める。良い循環が起こり始めていた。

食生活にもまた新たな変化があった。「薄力完粒粉」や「全粒粉使用のスパゲティ」を取り入れたのだ。

それまではスパゲティでもお好み焼きでも、道産小麦使用ではあったが精白小麦粉を使用していたから、小麦粉料理というのはおやつにはできても食事にするには心もとないという感じだった。

だが、全粒粉のものに替えることで、小麦粉料理でも安心してメインの食事にできるようになった。

マクロビオティック食事

野菜たっぷりトマトソーススパゲティ、わかめとえのきだけの味噌汁、大根おろし(2008.12.5)

毎日の食事の軸が「鉄火味噌おにぎりとごぼう汁」であることには変わりはなかった。だが、たまにこうして麺類を食卓にのぼらせられるようになったことで、より自由で楽しい感じになった。

普段は節制していれば、いざというときに肉や魚を食べたところで体調が崩れたりしないと確信を得たのもこの頃だ。

ハメを外すための節制~要はメリハリ』にも書いたように、意識の転換が起こった。

あまり食べない方が良いとされるものを、「いかに食べないか」ではなく、「いかに食べるか」考えるのだ。

肉や魚を食べたくなる、あるいは食べなければいけなくなる事態を想定し、食べなくてもすむ時期は徹底して真面目な食事で通す。

そうしてととのえておけば、たまにハメを外したくらいで体調はおかしくなったりしない。

「食べてはいけない」と禁止の方向で考えていると、そこに意識が集中して辛くなってしまう。だから、「食べてもいい」という前提を自分に作っておくのだ。

食べたければいつだって食べられる。そう思うことで緊張がほぐれ、逆に、そういうものを食べなくても平気でいられるようにもなってくる。

私のマクロビオティックは進化し続けた。

(「制限のないマクロビオティックにたどり着く~マクロビオティック実践記18」に続く)


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

砂糖がダメ? そんなの知らん~マクロビオティック実践記1

マクロビオティックを学んで一番驚いた「砂糖禁止」。けれど私は「別にいいよね? 美味しいし」と、無邪気に使用を続けていました。

本物の醤油(有機栽培、二夏熟成)の美味しさにびっくり。7号食実践の決意~マクロビオティック実践記3

マクロビオティックを始めて半年。醤油をとても良いものに変えました。そして、「素材や醸造期間なんかで味が変わるかねえ」という懐疑心が打ち砕かれました。

7号食で初めて経験する苦しみ。マクロビオティック理論の勉強を続けることを決める~マクロビオティック実践記4

マクロビオティックを始めて七ヶ月。7号食実践で、猛獣のような肉体の欲望を精神でねじふせる経験をします。

親知らず抜歯後、歯茎の回復で噛めるようになってきた~マクロビオティック実践記11

マクロビオティックを始めて一年二ヶ月。親知らずを抜歯して2ヶ月経ち、やっと固形物が食べられるようになってきました。

食べ過ぎの失敗から新おにぎり開発、圧力鍋で玄米炊き開始~マクロビオティック実践記13

マクロビオティックを始めて一年四ヶ月。マクロビオティックにも慣れ、だいぶ食生活が洗練されてきます。鉄火味噌や圧力鍋を導入したのもこの頃。食べ過ぎの胃もたれで玄米おにぎりしか食べられず、玄米おにぎりだけで野菜も摂ろうと思って「鉄火味噌玄米おにぎり」が開発されました。

マクロビオティック完成形。だが実験は続く~マクロビオティック実践記19

マクロビオティックを始めて一年十ヶ月。私のマクロビオティックはほぼ完成形になりました。

精神のきらめき初体験! これが中庸?~マクロビオティック実践記14

マクロビオティックを始めて一年五ヶ月。サイト作成に気をとられ、自然と間食が減って食事が洗練された結果、精神に変化が起こりました!

月経周期28日で中庸状態達成、保とうとして混乱~マクロビオティック実践記15

マクロビオティックを始めて一年半。月経周期が、理想的と言われる28日になりました! しかし喜んでばかりもいられません。どうしたらこの良い状態を保てるのか、意識しすぎてガチガチになってしまったのです。

マクロビオティック理論勉強の大詰めと食生活の落ち着き~マクロビオティック実践記16

マクロビオティックを始めて一年七ヶ月。理論の勉強も大詰めとなり、ついに21冊を読み終えます。間食の改善にも乗り出しました

制限のないマクロビオティックにたどり着く~マクロビオティック実践記18

マクロビオティックを始めて一年九ヶ月。マクロビオティックの禁忌食を見ても心を動かされない自分になりました。

ランダム記事

欲望を信じる

私の中に住む「欲望」は、マクロビオティック開始当初はすさまじい荒くれ者でしたが、今は理性を身につけた尊敬できるヤツになりました。

初めての「ねぎ味噌」体験記

マクロビオティック料理の「ねぎ味噌」を初めて作ったときの記体験談です。ねぎと味噌だけが材料なのでしょっぱい味を想像していましたが、意外や意外、なぜこんなに甘いのか? ねぎ味噌のレシピも掲載しています。

豊かな食事の「危険」とは何か

桜沢如一氏は、ご飯に野菜、汁物、肉やデザート、果物などがある豊かな食事を「危険」とおっしゃっています。その真意を考えてみました。

外見は綺麗に、中身は僧侶~デパートで物欲を揺さぶられない

マクロビオティックを始めてから、食への執着が落ちるとともに、物欲までなくなってきました。

病気を受け入れる

マクロビオティック実践者であるにも関わらず重い風邪をひき、私は今まで忌み嫌っていた「病気」を受け入れざるを得ないところまで追い込まれました。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事