マクロビオティックコラム

独学という勉強方法を信頼する理由

シェアする

私はマクロビオティックを独学で実践してきたわけだが、私が独学という勉強方法にここまで信頼感を寄せるようになったのには理由がある。

私は小学・中学・高校時代を通して、塾のたぐいに通ったことがないのだ。極めつけは「自宅浪人」。一年間、自宅で大学の受験勉強をした。

スケジュールを組んでくれる人も、ゲームやテレビなどの誘惑から私を守ってくれる人もいない。 ただひたすらに、自分で予定を組み、買い込んだ問題集にかじりついて朝起きてから寝るまで鉛筆を走らせる。

もちろん途中で休憩もする。一寝入りしたりもする。しかしそれすらも漫然とは行わず、勉強量に支障が出ないよう計画的に実行した。

現役で大学に受からなかったことは、当時の私にとって人生最大の挫折だった。悲しく、苦しかった。焦りもした。陽光にきらめく若葉を見て、「葉っぱはいいよな、無知で。何の苦しみもなくて」なんて、自然の美しささえ妬ましく思ったりしていた。

けれど、だからこそ、絶対に次は受かる、受からなければいけないと思っていた。私は志望大学のランクを現役時よりも上げた。これで合格すれば、浪人した意味があったと言える。

書店に赴き、自分の目で問題集の中身を確かめて、自分にとって一番効果が出そうだと思う物を選んで買う。ベッドから出たら、寝起きでぐちゃぐちゃの髪を一本に束ね、着替えもせずにすぐ机に向かった。

自分で自分を律する一年間だった。完全に自由な24時間を、自分でコントロールする。

苦手科目は基礎からじっくり、得意科目は量をどんどんこなす。

自分の学力を最大限に伸ばす、自分だけの学習プログラムを自分で毎日組んだのだった。

ストレスで目がおかしくなって眼科にかかったりもしたが、それでも私は、最大級の苦しみと同時に最大級の喜びも感じていた。

楽しかった。生きているという感じがした。それまでは、どこか、人の目を気にして生きる人生だった。周囲に弾かれないよう、自分を抑えて生きることに慣れていた。

自宅浪人は、本来の私がありのままで生きる力を呼び覚ましてくれたのだ。

私は、現役時にはまったく無理だった点数を、夏には模試で叩き出せるようになっていた。私は自分自身を自分の一番の友とするようになった。たとえ知らない道でも、自分を信じて前に進んでいくことができるようになっていた。

そして挑んだ二度目の受験。センター試験はA判定。二次試験も手応えがあった。余裕を持って合格した。

私は誇らしかった! 予備校など通わなくても、自分のやり方で実力をつけ、きちっと合格できた!

一年間でかかった問題集代は3万円に満たなかった。予備校に通えば、この何十倍もの金額がかかったはずだ。

浪人といえば予備校というのが一般的な中、自宅浪人を選択した私は先生方から心配されていた。大丈夫だということは私が一番わかっていたのだが、結果を出すことで鼻をあかせてすっきりした。

もちろん、問題集なくしては自宅浪人もままならなかったから、素晴らしい問題集を作ってくださった方々には感謝している。声なき教師として私に知識を授けてくださってありがとう。

そしてこの自宅浪人の経験で私は確信した。本さえあれば、自分で勉強ができて、最小限の投資で最大の学習効果を上げることができる。

マクロビオティックの勉強にも、このことを応用したまでだ。私にとって独学はあまりに自然なことだった。

ちゃんと健康も上向いた。精神は明るくなった。禁忌食への執着も断てた。マクロビオティック的に正しい道を歩めていると感じる。独学だからこそ、他人の意見に振り回されず、自分の体や心の声をじっくりと聞いてマクロビオティック実践を進めることができた。

私は、自宅浪人で大学に合格したことをとても誇りに思っている。あの一年間で味わった苦しみや孤独と、乗り越えるためにあがいて成功をつかんだ経験は、私を一生支えるくらいの自信を私にもたらしてくれた。

もし、短期間でも予備校の講習などに通ってしまえば、完全な独学で浪人を乗り越えたと胸を張って言えなくなって、つまらない思いをしていただろう。

独学ってすごいんだぞ。それを知っている私は恵まれている。


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

西洋医学とマクロビオティックの両立~親知らず抜歯後、抗生物質の飲み過ぎで弱った腎臓を小豆かぼちゃが治す

親知らず抜歯後、抗生物質と痛み止めの服用で腎臓に負担がかかり、尿が出なくなりました。それを、マクロビオティックの食箋料理である「小豆かぼちゃ」が治してくれました。そのときの体験から、西洋医学とマクロビオティックの両立というものを考えます。

マクロビオティックの食は、制限ではなく解放~果物、水を摂りすぎないで良いというのが嬉しい

マクロビオティックで言われる「なるべく食べない方が良い」とされるものについて、私は「制限」というより「解放」を感じることが多い。たとえば果物も水も、私があまり得意でなかったものだ。これをマクロビオティックは「多く摂らない方が良い」と言ってくれた。私には救いとなった。

マクロビオティック独学のススメ

マクロビオティックは独学が基本だと私は思っている。指導者の書いた本を読めば、直接指導を受けたと同じこと。あとは、日々の実践の中で、知識の定着をはかってゆけば良い。正しい食物を選ぶ判断力はすでに自分の中に備わっていると考え、もっと自分の力を信じることが大切だ。

マクロビオティックを信じてみる気になった理由

胡散臭いとか、宗教っぽいとか、そんな疑惑の眼差しを向けられることもあるマクロビオティックだけれど。私はマクロビオティックの主張は信頼に足ると、最初に直感した。その理由は、マクロビオティックが無欲だから。

マクロビオティックをオープンにしたい~私がサイトを作った理由

マクロビオティックというのはその詳細があまりオープンにされていない。「玄米菜食」という一言では語り尽くせないマクロビオティックの本当のところを知らせるため、このサイトが役立てられたらと思う。

マクロビオティックが治すのではない

マクロビオティックは自学自習が基本です。誰かに頼るものではありません。実際、厳しいものです。だからこそ面白いのです。自分が自分の医者になり、自分の体に責任を持って判断を下していかねばなりません。

マクロビオティックが「偉そう」?

マクロビオティックが偉そうだという声を聞きました。けれど偉そうと感じるのはマクロビオティックを間接的にしか見ていないからでしょう。もっと直接触れてみてほしいです。

マクロビオティックQ&Aは、マクロビオティックを理解した道筋の再現

当サイト「マクロビオティックQ&A」はメインコンテンツであり、私が本気を入れて書いたマクロビオティックの解説でもあります。用語の解説だけでは理解できなかった過去の私の経験が基になっています。

マクロビオティック的進歩の目安…人の食事が気にならない

人の食べているものを批判しないですむようになると、マクロビオティック的に進歩したといえるのではないでしょうか。

強くない体に守られている

胃腸が強くないことで太りすぎずにすんでいるんですよね。物事は、マイナスだけではありえず、必ずプラスの面があることを考えさせられます。

ランダム記事

厳しさが連れてくる美しさ、苦しみが連れてくる喜び

北海道の冬に触れるたびに、私は励まされる。人生の苦しみは、受け止めようではないか。逆境の中にある輝きを見つけ、それを大事にしながら、春を待とうではないか。

完璧主義に疲れ、能天気を心がけたら楽しくなった~思い詰めず、その日生きられたならそれでOKというおおらかさ。

思い詰めて、頑張らなきゃと気を張り詰めて生きてきたのですが、うまくいかないことに絶望するのに疲れ果て、とりあえず生きていけるだけで十分だという思いに至りました。

食事は仕事~体を養うための食

食の楽しみとは何でしょうか? 目や舌のためではなく、体のために食べるのだということがわかったとき、新たな食の姿が見えてきます。

忙しい人のためのチャーハンおにぎり弁当

激務の妹に玄米チャーハンおにぎりを持たせています。主食とおかずを一品で摂れるお得料理です!

病気の人のマクロビオティック

病気治しのためのマクロビオティックには苦労がつきものです。その苦労を乗り越えずして病気は治りません。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事