マクロビオティックコラム

アトピー性皮膚炎との歩み~3.浪人時代の脱ステロイド

シェアする

その2からの続き)肉、卵、牛乳の除去食を続けたおかげで私のアトピーは徐々になりを潜め、中学時代にはまだ肘に包帯を巻いて学校に行くこともあったのが、高校生になると一見アトピーだとはわからない皮膚にまでなった。

脱ステロイドのチャンス

だがその小康状態もステロイド剤を毎日のように塗っていたから保てていたようなものだった。

体に使うのはまだ良いが、顔にステロイド剤を塗るのには抵抗を感じ始めていた。そのころ、ステロイド剤の副作用について見聞きすることが増えたからだ。皮膚が薄くなるとか、肌の抵抗力が落ちるとか。

だからといって薬を塗らなければ、頬が赤くかゆくなってしまう。そんな状態を人目にさらすのがイヤだったので、使いたくないものの使わざるをえない状況が続いていたのだが、脱ステロイドをするのに絶好の機会が訪れた。

高校卒業後、自宅で一年間浪人生活を送ることになったのだ

顔のステロイドをやめてみる

家にこもって勉強すればいいだけの日々だから、どんな見た目になったって構わない。外気にもさらされないから、皮膚の療養にはもってこいだろう。

私は顔に使っていたステロイド剤をピタリとやめてみた。すると、それまでステロイド剤のおかげで潤っていた肌が、こらえきれなくなったように赤く乾燥し、ひび割れた。

頬のひび割れから浸出液がにじみ、とても痛がゆい。頬に赤みが広がり、鏡を見るたびに悲しみといらだちがつのった。

たまに外食に行くとき、頬の湿疹のことなど忘れていたいのに、テーブルに置かれたスプーンに自分が映っていたりする。スプーンの中に小さくゆがんで映るその顔は、頬だけくっきりと赤い。たちまち人目が気になって、顔を隠すように背中を丸めたものだ。

入浴後が勝負の時間だった。鏡とにらめっこしながら、高価な美容液をつけてみたり、大学病院まで行ってもらってきた「酸性水」なるものをパッティングしてみたり。毎日、どんな処置を試したかノートにつけた。まだ赤い。まだかゆい。泣き顔のイラストに頬の湿疹を描き加え、ため息ばかりついていた。

椿油+保湿クリーム

しかしそんな試行錯誤のうちには、乾燥に少しはききそうだというやり方が見つかってきた。椿油を洗顔したての肌に塗り、ラップを貼り付けるという方法だ。だが椿油だけだとどうも肌なじみが良くなく、浸出液とともに流れ落ちる印象があった。

そこで、椿油自然派の保湿クリームに混ぜ込む方法を思いついた。手のひらに指先大のクリームを出し、椿油を10滴ほどよく混ぜ込む。油でゆるゆるになったクリームをこってりと頬に塗り、ラップで覆った。

これがヒットした。今までに比べ、保湿効果を抜群に感じる。ただ、せっかくのクリームも、寝ている間にかゆくてかいてしまうと水の泡。私は、睡眠中の顔を保護するため、鼻の部分だけ切り取ったガーゼで顔を覆うことにした。上部はピン、下部は首に巻き付けて後ろでテープ止め。無意識にガーゼの上からかかないよう、手はグーにして包帯をぐるぐる巻きにし、動きを封じた。

この、油クリームを塗ってガーゼで覆って眠る生活を三ヶ月も送った頃だろうか。皮膚は元の色を取り戻し、表面の滑らかさも蘇り、日焼け止めをどうにか塗れるくらいまで回復した。

この頃再会した友人には、「肌が綺麗になった!」と驚かれた。ステロイド剤を塗ってしのいでいた高校時代よりも見やすい肌になっていた。

大学にも合格し、入学式の写真に白い肌で写ることができたのだった。


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

アトピー性皮膚炎との歩み~1.除去食人生スタート

生まれつき食物アレルギーのある私。病院で診断を受け、肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせますが、小児喘息、とびひなど、アレルギー性の疾患に次々とかかります。けれど除去食の効果で小学校入学前にはだいぶ良くなります。

アトピー性皮膚炎との歩み~2.除去食で成長。

肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせ、小学校入学後は給食からアレルゲンをよけて食べるようになります。牛乳は止めていたので飲み物はなし。アトピーの症状はだいぶおさまり、ステロイド剤でコントロールしながら過ごしていました。

アトピー性皮膚炎との歩み~4.大学時代の油断で湿疹が悪化

肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)で二十歳までにアトピーの症状をだいぶ改善できたのは良かったのですが、その後、大学時代の油断でそれまでになかった皮膚症状があらわれます。

アトピー性皮膚炎との歩み~5.マクロビオティックとの出会い

大学卒業後、実家へ戻った私は、自分のごはんをしぶしぶ自分で作るようになります。そんな中でレシピをまとめる必要性が出てきて、ブログをレシピ集代わりにすることに。そのタイトルに採用したのが「マクロビオティック」だったのです。マクロビオティックのことをほとんど何も知らなかったのに……

アトピー性皮膚炎との歩み~6.砂糖禁止の衝撃

マクロビオティック料理のブログを開設したはいいけれど、マクロビオティックについてほとんど何も知らなかった私。渋々勉強し始めて、驚異の事実を知ります。砂糖を摂ってはいけない? なぜそんなルールがあるのか納得がいかず、マクロビオティックを深く追究することになります。

アトピー性皮膚炎との歩み~7.マクロビオティックへの信頼

砂糖禁止の理由を、様々な本を読むことで理解した私は、マクロビオティックの哲学としての奥の深さにおもしろみを感じるようになります。単なる除去食より食生活も洗練され、アトピーもかなり良くなりました。

アトピーのステロイド剤とマクロビオティック

マクロビオティックを実践しながらのステロイド剤とのつき合い方を考えてみました。

マクロビオティックが消してくれたアトピーの悲しみ

マクロビオティックで食べない方が良いとされているものは、私の食物アレルギーのアレルゲンでした。アトピーが肯定されたように感じ、救われた気がしました。

煮詰まってイライラしたらりんごを食べる~焦りの陽性を穏やかな陰性で和らげる

煮詰まってイライラしている(陽性が強い)とき、甘いものがほしくなりますが、おすすめなのはりんごです。りんごはマクロビオティックにおいて最も陽性な果物とされています。

マクロビオティックをやめるということの意味

マクロビオティック実践者がマクロビオティックをやめるとはどういうことか。

ランダム記事

栄養失調~いわゆる夏バテ:前編-熱はなく、ひたすらだるい

にんじんりんごジュースを飲み過ぎて胃の調子がおかしくなってから、本格的に体調を崩して寝込んでしまいました。

アトピー性皮膚炎との歩み~7.マクロビオティックへの信頼

砂糖禁止の理由を、様々な本を読むことで理解した私は、マクロビオティックの哲学としての奥の深さにおもしろみを感じるようになります。単なる除去食より食生活も洗練され、アトピーもかなり良くなりました。

揚げ物の食べ過ぎで頭痛、吐き気

油は、食べ物にパワーを与えますが、摂りすぎると陰性症状の原因になります。けれど揚げ物って美味しいので、つい食べ過ぎてしまって失敗……

マクロビオティック完成形。だが実験は続く~マクロビオティック実践記19

マクロビオティックを始めて一年十ヶ月。私のマクロビオティックはほぼ完成形になりました。

マクロビオティックでカレーが体に合わなくなった~だが「食べられなくなった」のではない

マクロビオティックを始めてからカレーが食べられなくなったと思っていましたが、そうではありませんでした。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事