マクロビオティックコラム

マクロビオティッ苦(ク)

シェアする

パソコンのキーボードで「マクロビオティック」と打つのは少し大変だ。

個人的にあまり慣れていないキーが含まれているのだ。

それでももたもたしていられないから慌てて打っていると、タイプミスが出てくる。よくやってしまうのは小さな「ツ」を抜いてしまうこと。

ここで私はいつも気が抜けてしまう。普通に「マクロビオティク」と変換されるならまだ良い。だが、私の使っているパソコンでは「マクロビオティ苦」となるのだ。

マクロビオティ苦!

いかにも「マクロビオティックというものは苦しいのだ」と訴えているような感じで、おどろおどろしい。そんな風に言わないでッ! と、パソコンに対して文句を言いたい気持ちにもなっていた。

だが最近、「マクロビオティ苦」というのも言い得て妙な表現だなと思うようになった。

マクロビオティックは、最終的には、食への執着から解放されのびのびと楽しいものになる。

だが、そこに至るまでの苦しみたるや!

食べてはいけないとわかっているのに、食べたいと体が欲して、それを抑える苦しみ。

欲望に負けて食べてしまい、悔やんでいるのに、止まらなくて食べ続けてしまうのを自己嫌悪する苦しみ。

今でこそすっかりおとなしくなった欲望ではあるが、そこまで飼い慣らすのにどれだけ血みどろの精神的闘いを繰り広げたか……。

自分の中庸バランスを崩したくないばかりに食物の陰と陽に過敏になり、考えすぎて疲れ果てた時期もあった。

いや、まさに、マクロビオティッ苦!

近頃は、マクロビオティックといえばその大変な側面はおおっぴらにされず、ひたすらに「楽しい」「気持ちいい」という面だけがアピールされているように感じる。

確かに楽しいさ。気持ちもいいさ。けれど一朝一夕に楽しさを味わえると思ったら大違い! 現代の豊かな食に慣れた人間にとって、一歩足を踏み込めばそこはイバラの道。

傷つきながらも、必死で道を切り開いていく。やがて美しい平原にたどり着くのを信じて。

「苦しみの果てに最高の楽しみが待っている」というアピールの方法では誰もマクロビオティックに寄りつかなくなってしまうだろうか。

だが私は密かにつぶやきたい。最初はマクロビオティッ苦だよ、と……。


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

マクロビオティック独学のススメ

マクロビオティックは独学が基本だと私は思っている。指導者の書いた本を読めば、直接指導を受けたと同じこと。あとは、日々の実践の中で、知識の定着をはかってゆけば良い。正しい食物を選ぶ判断力はすでに自分の中に備わっていると考え、もっと自分の力を信じることが大切だ。

マクロビオティックを信じてみる気になった理由

胡散臭いとか、宗教っぽいとか、そんな疑惑の眼差しを向けられることもあるマクロビオティックだけれど。私はマクロビオティックの主張は信頼に足ると、最初に直感した。その理由は、マクロビオティックが無欲だから。

マクロビオティックは苦しいか?

私はマクロビオティックをやっていて苦しいと思ったことがありません。それは、マクロビオティックに対しいつも反発しているから。マクロビオティックを自分のものにするためには、この「反発」も大事なことです。従順なだけじゃ苦しいです。

マクロビオティックへの批判

マクロビオティックに対し、強い怒りや悲しみ、懐疑心を抱いてしまうのはなぜなのか? どうしたらそれらを解決できるのか? 鍵は「自力独行の研究心」。

マクロビオティックが治すのではない

マクロビオティックは自学自習が基本です。誰かに頼るものではありません。実際、厳しいものです。だからこそ面白いのです。自分が自分の医者になり、自分の体に責任を持って判断を下していかねばなりません。

マクロビオティックグルメ食べ歩きはマクロビオティックなのか

マクロビオティックレストランの食べ歩きは、マクロビオティックで培った精神にふさわしいものなのでしょうか?

マクロビオティックだけで精神修養できるのか

マクロビオティックを実行すれば中庸の精神が得られるとされますが、私自身は、現在の楽な精神状態をマクロビオティックだけで手に入れたのではありません。

マクロビオティックが「偉そう」?

マクロビオティックが偉そうだという声を聞きました。けれど偉そうと感じるのはマクロビオティックを間接的にしか見ていないからでしょう。もっと直接触れてみてほしいです。

マクロビオティックQ&Aは、マクロビオティックを理解した道筋の再現

当サイト「マクロビオティックQ&A」はメインコンテンツであり、私が本気を入れて書いたマクロビオティックの解説でもあります。用語の解説だけでは理解できなかった過去の私の経験が基になっています。

マクロビオティック成功と失敗の定義-成功の秘訣は信じること

マクロビオティックをやって成功したか失敗したか。成功する秘訣は、うまくいくと信じて続けることです。ただ、途中で離脱しても、最終的に感謝が持てたなら成功です。

ランダム記事

マクロビオティックだけで精神修養できるのか

マクロビオティックを実行すれば中庸の精神が得られるとされますが、私自身は、現在の楽な精神状態をマクロビオティックだけで手に入れたのではありません。

ハメを外すための節制~要はメリハリ

マクロビオティックの禁忌食。「これ以上摂ると体調が崩れる」というラインを超えないようにコントロールできれば食べても大丈夫だということに気づいて気が楽になりました。

人生は自分で決める。マクロビオティックも。

理想の人生とは何だろうか? 「自分の選んだ道で、うまくいくこと」だと私は思う。「自分が選んだのではない道で、うまくいかないこと」が最悪だ。

マクロビオティック道の終点を迎えた経緯その3

マクロビオティックをやめよう。私はそう思うようになった。そして、マクロビオティックという大前提を意識から取っ払うことにした。

初めての「マイースのハンバーグ」体験記

リマクッキング掲載の「マイースのハンバーグ」(卵も牛乳もパン粉も不使用)に挑戦したときの記録です。つなぎに使う地粉の「適宜」という指示がどれくらいかわからず、最初は失敗……。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事