妹が職場に持って行くお茶は、いつも私が鍋で煮出して作っている。ガラスの冷水筒に入れて冷蔵庫に保存し、そこから妹が毎朝小さなペットボトルに移して職場へ持参するという仕組みだ。
休む間もなく働いている妹は、お茶に刺激を求める。フラフラしているため、シャッキリするお茶が良いのだそうだ。
マクロビオティックではおなじみの、カフェインの低い三年番茶では優しすぎると言う。
そこで、国産有機栽培の烏龍茶を濃く煮出して持たせていた。
だがある日、妹は市販のジャスミンティーを飲んでその味を気に入ったらしく、「ジャスミンティーって美味しいね。すっきりする」と言い出した。
「何、ジャスミンティーが飲みたいの?」「うん」「そういうことをいきなり言わないでよ~。この前、烏龍茶のストックを買っちゃったよ」
と言いながらも、私自身、ジャスミンティーに興味がわいた。大学時代、中華料理店で飲んだことがある。とても良い香りのする、麗しい気持ちになるお茶だった。
こうなるといてもたってもいられなくなる私。翌日、早速自然食品店に赴いて、ジャスミンティーを買った。
だがそのジャスミンティー、有機JASマークがついていない。商品裏に記載されていたホームページにアクセスすると残留農薬検査結果が公開されていて、その数値は0ではなかった。
う~ん、自然食品店で売られていたジャスミンティーだけれど、ちょっと農薬が残っているのか。だったらなるべく農薬を少なくする工夫をしよう。
茶葉の有効な除毒法は、一度湯にくぐらせること。急須を使う場合であれば一煎目を捨てる。
今回は、ステンレス製のカス揚げにジャスミン茶葉10gをのせ、上から熱湯をかけた。茶色い湯がしたたり落ちてちょっともったいない気もしたが、あの湯に農薬が溶け出ているのだから仕方ない。
次に、鍋に1400mlの水を入れて火にかけ、小さな気泡が少し上がってきたあたりでごく弱火にして茶葉を入れる。そのまま一分おいたら火を切って、茶漉しで漉す。
茶漉しと言っても、私がいつも使うのはコーヒー用のサーバーとドリッパー。4人から7人用の特大サイズである。これがなかなか使える。(フィルターも、大きな103サイズが断然使いやすい)
美味しそうなジャスミンティーが入った! ジャスミンの甘い香りがする。漉す前にちょっともたついたせいか少し渋みも出てしまったが、その渋みが妹の「体をシャッキリさせたい」というリクエストにぴったりな気もする。
サーバーに入った見た目が烏龍茶にも似ているから、妹にはそれがジャスミンティーであることは告げず、こっそり反応を見てみたい。烏龍茶と思って飲んでみたらジャスミンティーだった! みたいな……。
ところでネットで検索してみたところ、有機のジャスミンティーも存在するらしい。今回買ったジャスミンティーを飲みきったら、ぜひ有機のジャスミンティーも味わってみたいものである。
(追記:何食わぬ顔で妹に飲ませてみたところ、コップを口に近づけた段階で「ん……この香りは」(ニヤリ)と勘づかれてしまった。でも「ウマイ」と喜んでいたので良かった。)