マクロビオティックコラム

マクロビオティッ苦

パソコンのキーボードで「マクロビオティック」と打つのは少し大変だ。

個人的にあまり慣れていないキーが含まれているのだ。

それでももたもたしていられないから慌てて打っていると、タイプミスが出てくる。よくやってしまうのは小さな「ツ」を抜いてしまうこと。

ここで私はいつも気が抜けてしまう。普通に「マクロビオティク」と変換されるならまだ良い。だが、私の使っているパソコンでは「マクロビオティ苦」となるのだ。

マクロビオティ苦!

いかにも「マクロビオティックというものは苦しいのだ」と訴えているような感じで、おどろおどろしい。そんな風に言わないでッ! と、パソコンに対して文句を言いたい気持ちにもなっていた。

だが最近、「マクロビオティ苦」というのも言い得て妙な表現だなと思うようになった。

マクロビオティックは、最終的には、食への執着から解放されのびのびと楽しいものになる。

だが、そこに至るまでの苦しみたるや!

食べてはいけないとわかっているのに、食べたいと体が欲して、それを抑える苦しみ。

欲望に負けて食べてしまい、悔やんでいるのに、止まらなくて食べ続けてしまうのを自己嫌悪する苦しみ。

今でこそすっかりおとなしくなった欲望ではあるが、そこまで飼い慣らすのにどれだけ血みどろの精神的闘いを繰り広げたか……。

自分の中庸バランスを崩したくないばかりに食物の陰と陽に過敏になり、考えすぎて疲れ果てた時期もあった。

いや、まさに、マクロビオティッ苦!

近頃は、マクロビオティックといえばその大変な側面はおおっぴらにされず、ひたすらに「楽しい」「気持ちいい」という面だけがアピールされているように感じる。

確かに楽しいさ。気持ちもいいさ。けれど一朝一夕に楽しさを味わえると思ったら大違い! 現代の豊かな食に慣れた人間にとって、一歩足を踏み込めばそこはイバラの道。

傷つきながらも、必死で道を切り開いていく。やがて美しい平原にたどり着くのを信じて。

「苦しみの果てに最高の楽しみが待っている」というアピールの方法では誰もマクロビオティックに寄りつかなくなってしまうだろうか。

だが私は密かにつぶやきたい。最初はマクロビオティッ苦だよ、と……。


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