マクロビオティックコラム

マクロビオティックを離れて初めてわかるありがたさ

私はマクロビオティックから離れた。誰の、どんな健康法にも傾倒しない、自由な立場を取り戻した。

いや、もしかしたら、マクロビオティックの方が私から離れていったのかもしれない。なにせ今、ずっと我が家に滞在していたマクロビオティックという親戚が帰っていってしまったようなぽっかりとした感じがあるのだ。

いつも顔を合わせていたから、いざいなくなられるとちょっと寂しい。だが、マクロビオティック氏の不在にも、いつしか慣れていくのだろう。

マクロビオティック氏がいなくなった台所を改めて見てみると、彼の置きみやげがたくさんある。

梅干し、三年番茶、長期熟成の有機醤油、ごま、鉄火味噌……。どれも、マクロビオティック氏と出会う前にはうちに常備はされていなかったものだ。

ああ、彼は、本当にうちの食卓を健康的に洗練させてくれたなあ。しんみり、ありがたく、切なくなる。

今思えば、マクロビオティックは口うるさい舅のような存在だった。ああしろ、こうしろ、あ、それは違う! ……何度怒鳴られたことか。

そのたび、え、どうしてですか、何がいけないんですかと反抗しながら、言うとおりにしてみて、あ、本当だ、マクロビオティックさんのやり方、けっこういいですねなんて納得して。

そのうち私にも自主性が出てきて、マクロビオティック氏が口を挟める余地が少なくなってきた。そしてつい先頃、「もう俺の教えることはない。あとは自由に生きろ」と荷物をまとめ、ふらりとマクロビオティック氏はうちを出ていってしまったのだ。

私も、引き留めもしなかったけれど。

ああ、うるさいヤツだったけれど、良い物をたくさん残していってくれた。その財産だけは今後も使わせてもらうわ。

マクロビオティック氏と一緒にいるときはうるささの方が勝って感じられなかったありがたみを、今は感じられる。

人間関係もそうだが、やはり何事も、適度な距離というのは大事だ。

マクロビオティック氏は今頃どこにいるのだろう。どこかの家で口角泡を飛ばしながら指導に精を出しているのだろうか。

マクロビオティック氏、お世話になりました。あなたがいなくても、私、しっかりやっていきますからね。ご心配なく。

言われなくても心配などしていない、お前のことなど最初からどうだっていいのさ……なんてぶっきらぼうな声がどこかから聞こえてきそうだ。


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