マクロビオティックコラム

健康な人が実践するマクロビオティックの限界

マクロビオティックとは基本的に、健康に不安を抱える人が、その改善を求めて取り組み始めるものだと思っている。

マクロビオティックの食事法は、病気の人にこそ効果を発揮する。健康な人の体調ももちろん上向くが、健康というのには限度がある。

バリバリ健康で、自身でも絶好調だと感じている人が厳格なマクロビオティックの食事法を実践しても、健康状態がそれ以上良くなることはあまり期待できない。

最高の健康状態を得ているのであれば、マクロビオティックを実践する必要性はない。

健康であるにもかかわらずマクロビオティックを続けるとしたら、食の制限によるストレスが募り、逆に病を招く結果となるだろう。

私がそうだったように。

マクロビオティックを学んだきっかけ

そもそも、私がマクロビオティックを学び始めたのは、「病気を治したいから」ではなかった。

確かに私は食物アレルギー持ちで、アトピー性皮膚炎でもある。だが「アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ」でも書いたように、幼少期の厳格な除去食実践により症状はかなり改善し、現在ではぱっと見た目にはアトピー患者とはわからないほどになっている。

私にとって、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎は「治したいもの」ではなく、「うまくつき合っていく必要のあるもの」だ。病気とは考えていない。

ではなぜマクロビオティックを始めたのか? それには特殊な経緯がある。

大学卒業後、料理を作り始める

話は、私が大学を卒業して実家に戻ってきたころにさかのぼる。

私はもともと料理が好きではなく、家事を手伝うにしても炊事は母や妹に任せてきた。

それが、母の仕事が忙しくなり、妹はパティシエとなって東京に去り、私が料理を担当しなければいけない状況になった。

最初は味噌汁しか作らなかったのが、少しずつ炒め物や煮物に挑戦するようになった。レシピをネットで検索してプリントアウトし、台所に持ち込む日が増えてきた。

やがて台所にレシピが散乱。もう一度作りたいレシピは行方不明。収拾がつかなくなって、散らかりもせず紛失の心配もないネット上にレシピを記録しておくことを思いつく。

レシピを書き留めるブログ開設

レシピを書き留めておくためのブログを開設。そのタイトルを決めるときのことだ。

「私の作る料理は肉、卵、牛乳の除去食だから除去食レシピと名づけようかな。でも待てよ? マクロビオティックという菜食っぽいものがあったよな。そっちをタイトルにつけた方がキャッチーで、ブログとして人気が出るんじゃないか?

はっきり言って、そのレシピ用ブログのアクセス数を稼ごうとして、安易にマクロビオティックという名前を使っただけだったのだ。

マクロビオティックの本を一冊も読んでおらず、原則の一つも知らない状態だったのに! 除去食と似たようなものだろうという先入観だけでマクロビオティックレシピと銘打ったのだ!

マクロビオティックの勉強開始

だがそこは、生来真面目な私。「マクロビオティックを知らないのにマクロビオティックレシピなんて言っちゃって良かったかな……」と責任を感じ始め、マクロビオティックを勉強することにしたのだ。

このマクロビオティックの勉強が、やがて自然に実践につながっていった。

元々健康だったのが超・健康に

決して、病気だからマクロビオティックを始めたわけではなかったのだ。私は健康だった。風邪も、3~4年はひいていない状況だった。

それでも、マクロビオティックを実践してから一年半の間は、数々の体調改善が見られた。快便、目の充血の解消、胃痛緩和、月経周期の正常化、湿疹が出にくくなる……。

だが私の健康は、その一年半でピークを迎えたのだ。超・健康。これ以上健康になりようがないというところまで行ってしまった。

マクロビオティックは、健康な人がいつまでもすがりついているものではない。マクロビオティック実践が楽しいのは、体調が改善していくのを感じられるからだ。

心身ともに健康になりきってしまっては、マクロビオティック実践の意義を見失う。

健康を持続させるため? いや、健康を持続させるためだけならばマクロビオティックほどのルールは要らない。それこそ、その人なりの健康道で十分なのだ。

健康になったらマクロビオティックを去るべきだった

私は健康になった。ならばさっさとマクロビオティックを巣立ち、健康道に移行して良かったのだ。

けれど私はマクロビオティック実践によって、病気になるのを極度に恐れるようになっていた。マクロビオティックを続けなければ病気になると思っていた。

だから続けた。健康の密度が高まっていく。高まって、高まって、臨界点に達し、それは急激に病に転じた。

私は病気になってしまった。マクロビオティックを始めるまではついぞ体験したことのなかった、ひどい風邪をひいた。

目が覚めた。マクロビオティックを巣立つ決心がついた。そして今がある。

マクロビオティックは、病気の人のためのものだ。今、改めて感じている。

健康には限度がある

健康な人がマクロビオティックを実践する場合、注意しなければいけない。健康な人はかなり短い時間(私の場合一年半)で、「自分としては体調が前代未聞に絶好調」という瞬間を迎えるだろう。

そこまでいったら、もうマクロビオティックからは距離を置くことを考えた方が良い。荒れた食生活に変えるというのではない。陰とか陽とか抜きにして、自分なりの「体に良い食生活」を送っていくのだ。

そして、もしたまに風邪などひいてしまったら、そのときだけマクロビオティックで得た知識を生かして「正食」をする。そんな感じが良い。

なにせ、マクロビオティックを探究する度が強すぎて陥る不健康というのは最強にタチが悪い。本気で治りが遅い。

健康には限度がある。そのことを頭に置き、あまりにも健康を求めすぎないよう、病気を恐れすぎないよう、心を楽に、日々を送ると良い。


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