マクロビオティックコラム

悪口を言わない・その1

シェアする

心というものは汚れやすい。傷つきやすい。あまりに無防備な、まあるい、光の玉だ。

私は、鎧と兜をまとい、剣と盾を持ち、心を警護する騎士となる。

悪は断つ! 剣を構え、敵の襲来に常に備える。

まず最も警戒しなければいけないのは、自分の内側から来る悪である。

たとえば、誰かや何かに対する悪口。

「悪口を言わない人間になろう」。大学に入学したとき、新しい門出を迎えることへの記念のような気持ちで決意した。相手を傷つけない、優しい人間でありたい。

だが、この悪口を言わないというのが存外に難しいということを私はすぐに悟った。

やっぱり、いやな人というのはいるのだ。いやな人に対していやだと思い、たまに誰かに愚痴を言いたくなるのは仕方ないじゃないか?

悪口を言わないというのが、相手を思いやりすぎて、自分の感情を犠牲にしているような感覚もあった。

「悪口を言わない人間になろう」。う~ん、高尚で素晴らしいけれど、自分には無理みたい。

せっかくの決意も反故にして、私は大学生活を送った。

しかしその決意を新たに心に掲げる日がやってきた。

大学卒業後、思い通りにいかない現実に疲れ果て、「もうこれ以上傷つきたくない」と、自分の心を守る方法を模索し始めた。

そして気づいたのだ。悪口というのは相手を傷つけると同時に、自分をも傷つけるのだということを。

なぜなら、相手と自分はつながっている。

この肉体は細胞から成る。細胞は、突き詰めて考えれば、顕微鏡でも見えないほどの微少物質から構成されている。

物質というよりエネルギーとも言えるような、そんな小さな粒の集合体が空気に溶けている。それが人間。

肉眼で見ればはっきりと、空気と体の境目はわかるし、手で触れることもできるけれど、小さな粒として考えたとき、私は空気に溶けている。

同じように、相手も空気に溶けているのだ。

境界線など、本当は存在しない。

だから、「相手」も「自分」もない。相手を狙って放った矢は、間違いなく自分に刺さるのだ。

「悪口を言わない人間になろう」。私は再び心に誓った。やり遂げなければいけない。相手のためではなく、自分のために。

悪口を言わない・その2に続く~


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

心の健康道…体の健康だけではなく

体の健康にさえ留意すれば無条件で心が健康になるかと言ったらそんなことはない。体の健康を保つために食べ物や運動など様々なことに気を配るのと同じように、心の健康の獲得にも意識的な努力が必要となる。

悪口を言わない・その2

悪口を言いたくないのなら、そもそも、相手を分析してはいけない。私は、目に映じたものすべてに対し、「何も思わない、何も感じない」ようにする訓練を始めた。

好きなものについて語る~嫌いなものについて語るのは悪口になり、誰かを傷つけ、最後には自分も傷つくことになる

私は何かについて語るとき、対象を好きなものに限定するようにしている。気に入らなかったものについては語らない。それは悪口と同じで、誰かを傷つけ、自分も傷つく結果となるからだ。

卑下しない

ふざけてでも、自分に対し失礼なことを言ってはいけない。自分を貶めることで相手を相対的に優位に立たせようとするのは、相手にとっても失礼なことだ。

良心の痛むことはしない

私は、おこなって、どこか罪悪感を抱いたり、後ろ暗くなるようなことはしないようにしている。自分を傷つけないために。心を清らかに保つために。堂々と明るく生きるために。

心が暗くなるような情報は遮断する

心に層を成す暗闇を蹴散らすことに躍起になったときにおこなったことの一つが「心が暗くなるような情報は見ない・聞かない」ということだった。

人のためになることって何?

人の役に立つとはどういうことか? 大仰なことはできなくても、人の気持ちを励ましたり、勇気づけたり、楽しませたり、ちょっとでも明るくさせたりできれば、十分に人の役に立てていると数年かけて気づいた。

否定的な言葉はやわらかな言い回しに変える

断定的な否定形の言葉というのがある。「悪い」や「嫌い」などだ。私はそれらの言葉を日常で使わないよう強く意識している。

怒りを手放す方法「寛容」について~許してやれと自分に語りかける。愛さないけど憎まない。

ある人から言われたささいなことを五年も根に持ってどうしても怒りを捨てきれずに苦しんでいたのですが、「寛容」を意識することで急に楽になりました。許してやれ、と、自分に語りかけるのがコツ。

自分を自分で怒らない、責めないことの大切さ~自分を許すと楽になる

過去の失敗行為を思い出して「ああすれば良かったなあ」と後悔するとき、自分を慰め励ますのも良い手なのですが、許してやれ、と自分に語りかけると、もっと根本から楽になれました。

ランダム記事

マクロビオティックを離れて初めてわかるありがたさ

私はマクロビオティックから離れた。誰の、どんな健康法にも傾倒しない、自由な立場を取り戻した

7号食実践記~終章:7号食との付き合い方

7号食実践の総まとめ。7号食は、間食を食べたい欲求を静めるのに効果がありました。ただ、ふらふらになるので、実践するなら休日が良いです。

肉は、もうわかった。~焼き肉への執着が落ちた瞬間~

マクロビオティックを始める前に好きだった焼肉。いまだにチラシを見ると美味しそうだなあと思ってしまうので、思い切って三年ぶりに食べに行ってきました。その結果……。

悪口を言わない・その2

悪口を言いたくないのなら、そもそも、相手を分析してはいけない。私は、目に映じたものすべてに対し、「何も思わない、何も感じない」ようにする訓練を始めた。

外食前の玄米おにぎりで最低限の栄養確保

外食の前に玄米おにぎりを食べると、体調が崩れにくくなります。腹ぺこではなくなるため食べ過ぎず済んで、経済的にも良いです。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事