マクロビオティックコラム

初めての「豆腐チーズ」体験記

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久司道夫氏は、チーズや乳製品の代わりに納豆や豆腐を食べて満足できるようになることを最終目標としておられるけれど。(*1)

やはり、チーズはチーズ、豆腐は豆腐。

豆乳と昆布だし汁で作ったマクロビオティック風のホワイトソース(*2)が、バターと牛乳を使って作るホワイトソースとはまったく別物であるように。

「豆腐チーズ」というのも何か苦しい感じがするなあと、正直に言って思っていた。

だが、素朴な材料を駆使して、想像を超えるような味を生み出すのがマクロビオティック料理の魅力。

たっぷりと時間をかけることで、甘みのまったくないように思えたところからみりんを使ったような甘さを引き出すことに成功している「鉄火味噌(レシピはこちら)」や「ねぎ味噌(レシピはこちら)」。

豆腐チーズというものも、もしかしたらこんな風な驚きを感じさせてくれるかもしれない……。

というわけで、好奇心だけを頼りに豆腐チーズに挑戦してみることにした。

参考にしたのは、『チーズのような豆腐の味噌漬けのレシピ』(サイト)、『典座和尚の精進料理-家庭で楽しむ110レシピ』(書籍)、『マクロビオティック、はじめました』(書籍)。

すべてを統合して、一番自分にとって作りやすそうな手順を考えた。

水切りしてガーゼにくるみ、味噌を塗る

豆腐を十分に水切りして(このとき、重しにしたまな板が重すぎたせいで豆腐が微妙につぶれたが気にしない)、ガーゼにくるみ、味噌を塗りたくってタッパーに入れ、冷蔵庫で寝かせる。

豆腐チーズ

↑冷蔵庫に入れる前の豆腐チーズ

一日経った頃には豆腐チーズを作っていることなどすっかり忘れていたのだが、三日目、お腹を空かせてパソコンに向かっているときに「あ、そういえば」と思い出した。

豆腐チーズ

↑三日目の豆腐チーズ。豆腐表面に塗った味噌がやや脱色して白っぽくなっている。

豆腐チーズ

↑ガーゼをはがしてまな板の上にのせた。……つぶれているのはご愛敬!

豆腐チーズ

↑切り分けて皿に盛る。つぶれたせいでできた穴が、チーズらしさを醸し出している。怪我の功名。

チーズっぽい

一体どんな味なのか……。つまようじで少しだけ切り出して食べてみる。

「ん?……んん?」

私は眉をひそめ、鼻をならした。なんだこのとらえどころのない味は。かなり味噌の塩気がきいている。一瞬、スモークチーズのような香りがする。滑らかな舌触りも確かにチーズのよう。

よく味わえば豆腐であることに変わりはないのだけれど、チーズとも言いたくなるクリーミーさと香りがある。

豆腐と味噌の旨味が凝縮され、渾然一体となったような……。

う~ん、豆腐チーズ……。確かに豆腐チーズというネーミングがぴったりだ。

一㎝角を海苔に挟んで食べると、チーズおかきのようでとても美味しかった。オードブルに使えそうだ。

そして、空腹だったせいかだるかった体が、豆腐チーズをほんの少し食べただけでシャッキリ元気になってしまった。味噌の陽性パワーがきいたのだろう。

今回の経験は「豆腐チーズのレシピ」としてまとめた。

精進料理の世界では「豆腐の味噌漬け」と呼ぶらしく、味としてはそちらの方が実際に近いという感じではあるが、あの不思議な固さや滑らかさ、コクや香りは「豆腐チーズ」という名にふさわしいものであった。

簡単なので、ぜひ挑戦して、味わっていただきたい。

【追記】
この豆腐チーズを使ってどんな料理ができるか考えて作ったのが豆腐チーズと水菜のチャーハン。スモーキーな香りとまろやかさのある豆腐チーズ、食材としてもなかなか使えそうである。


*1久司道夫著『マクロビオティック健康法』p.194
*2参考レシピ:「豆乳の鮭ポテトグラタン
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