マクロビオティックコラム

マクロビオティックが消してくれたアトピーの悲しみ

シェアする

生まれつき肉、卵、牛乳の食物アレルギーである私にとって、それらはずっと「食べたくても食べられないもの」だった。

小学校に上がるまでの厳格な除去食によってかなり症状は良くなり、少しくらいなら食べても湿疹が出ないようになったが、アレルギーではない人と比べれば摂取できる量はまったく違う。

給食では、クラスで一人、牛乳を止めてもらっていた。私にだけ配られない牛乳を、皆は、競うように一気に飲み干す。

牛乳が飲みたいわけではなかった。けれど、飲み終えた牛乳の紙パックを皆が器用につぶしているのを見て、自分もあれをやってみたいと憧れていた。

アトピーでさえなければなあ。いつも、心のどこかで思っていた。

アトピーじゃなければ、もっと肉も食べたいし、卵も食べたい。牛乳だって、皆と同じように飲めるのに……。

私にとって、食物アレルギーはある種のハンディキャップだった。「普通」の人はできることを、私はできない。

赤ん坊のときからのつき合いなのだから、それをことさら嘆くわけではないが、「本当はもっと食べたいのに」という不満は抱いていた。

食物アレルギーを、アトピーを、「良い」だなんて思ったことはなかった。

だが、マクロビオティックの出会いがそんな私のいじけた心を変えてくれた。

マクロビオティックは、動物性食品は食べない方が良いと教えてくれていた。その方が人間にとって自然で、健康に生きられるのだと。

私は胸を突かれた。じゃあ、肉も、卵も、牛乳も、摂らないのが正解だったというの? アトピーだったことが、逆に、幸運だったということなの?

どんな食が正しいのかなんてことも深く考えず、なかば無意識に歩いてきた道のり。そこにあった様々な危険からアトピーという病が私を守っていてくれたのだということを知った。

アトピーで良かった! 心から、叫びだしたいほど嬉しかった。

心の底に沈んでいた悲しみを、マクロビオティックは美しい光に変えてくれた。

私は自分の病に、健康への最大の道具としての価値を見つけたのだ。

マクロビオティックは、私を肯定してくれた。「食べたくても食べられない」なんて悲しまなくても良い、元から食べる必要などないのだと教えてくれた。

私はどんなに救われただろう……。

涙を拭ってくれたマクロビオティックへの感謝は、あふれて止まることはない。

私のアトピーとのつき合いは、これから先も一生続くだろう。そのそばに、いつもマクロビオティックがいてくれる。

食べられない悲しみは、食べなくて良いものを食べずに済む喜びに変わる。

アレルゲンを油断して食べ過ぎれば出てくる痒い湿疹も、これ以上食べたらバランスが崩れるという体からのありがたいサイン。

病は健康のウラ。

その何気ないマクロビオティック無双原理の教えは、私を死ぬまで支えてくれるだろう。


運営者紹介

マクロビオティック羅針盤」運営者の遠藤です。

当サイトでは、マクロビオティックを初歩からQ&A形式で解説しています

マクロビオティック的に最もお勧めしたい献立「おにぎり・ごぼう汁定食」について「栄養学からも検証済み! 失敗しないマクロビオティック献立は?」で解説しています。

他に、メインブログとして「健康探究ブログ」を運営していますのでよろしければ遊びにいらしてください。

北海道旭川市在住。お茶の水女子大学卒業。

サイト説明詳細・運営者プロフィールはこちら

関連記事

アトピー性皮膚炎との歩み~1.除去食人生スタート

生まれつき食物アレルギーのある私。病院で診断を受け、肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせますが、小児喘息、とびひなど、アレルギー性の疾患に次々とかかります。けれど除去食の効果で小学校入学前にはだいぶ良くなります。

アトピー性皮膚炎との歩み~2.除去食で成長。

肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を保育所でスタートさせ、小学校入学後は給食からアレルゲンをよけて食べるようになります。牛乳は止めていたので飲み物はなし。アトピーの症状はだいぶおさまり、ステロイド剤でコントロールしながら過ごしていました。

アトピー性皮膚炎との歩み~3.浪人時代の脱ステロイド

離乳食から肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を続けたおかげで皮膚症状はだいぶ改善されたものの、ステロイド剤を塗る日々が続いていました。せめて顔は脱ステロイドしたいと、自宅浪人を機に一念発起。リバウンドで赤くひび割れた頬を改善させるまで試行錯誤が続きました。

アトピー性皮膚炎との歩み~4.大学時代の油断で湿疹が悪化

肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)で二十歳までにアトピーの症状をだいぶ改善できたのは良かったのですが、その後、大学時代の油断でそれまでになかった皮膚症状があらわれます。

アトピー性皮膚炎との歩み~5.マクロビオティックとの出会い

大学卒業後、実家へ戻った私は、自分のごはんをしぶしぶ自分で作るようになります。そんな中でレシピをまとめる必要性が出てきて、ブログをレシピ集代わりにすることに。そのタイトルに採用したのが「マクロビオティック」だったのです。マクロビオティックのことをほとんど何も知らなかったのに……

アトピー性皮膚炎との歩み~6.砂糖禁止の衝撃

マクロビオティック料理のブログを開設したはいいけれど、マクロビオティックについてほとんど何も知らなかった私。渋々勉強し始めて、驚異の事実を知ります。砂糖を摂ってはいけない? なぜそんなルールがあるのか納得がいかず、マクロビオティックを深く追究することになります。

アトピー性皮膚炎との歩み~7.マクロビオティックへの信頼

砂糖禁止の理由を、様々な本を読むことで理解した私は、マクロビオティックの哲学としての奥の深さにおもしろみを感じるようになります。単なる除去食より食生活も洗練され、アトピーもかなり良くなりました。

アトピーのステロイド剤とマクロビオティック

マクロビオティックを実践しながらのステロイド剤とのつき合い方を考えてみました。

厳しさが連れてくる美しさ、苦しみが連れてくる喜び

北海道の冬に触れるたびに、私は励まされる。人生の苦しみは、受け止めようではないか。逆境の中にある輝きを見つけ、それを大事にしながら、春を待とうではないか。

おにぎり・ごぼう汁定食開発、生理ストップ~マクロビオティック実践記5

マクロビオティックを始めて8ヶ月。体調絶好調メニューおにぎり・ごぼう汁定食が誕生します。

ランダム記事

初めての「銀座吉水(よしみず)でランチ」体験記

銀座の吉水でランチを食べてきました。写真入りレビューです。祝島の豚肉が野性的でした!

初めての「手作り納豆巻き」体験記

値段を気にせず納豆巻きを食べたくて、ついに手作りしてしまいました! 寿司酢も酢と粗糖と塩で手作り。レシピ掲載。

病は気から、気は病から

病は気からと言われ、実際その通りだと思うのだが、気は病からというのもまたしかりだと今回の風邪で痛感した。

健康な人が実践するマクロビオティックの限界

マクロビオティックの食事法は、病気の人にこそ効果を発揮する。健康な人の体調ももちろん上向くが、健康というのには限度がある。

アトピー性皮膚炎との歩み~3.浪人時代の脱ステロイド

離乳食から肉、卵、牛乳を除去した食事(除去食)を続けたおかげで皮膚症状はだいぶ改善されたものの、ステロイド剤を塗る日々が続いていました。せめて顔は脱ステロイドしたいと、自宅浪人を機に一念発起。リバウンドで赤くひび割れた頬を改善させるまで試行錯誤が続きました。

マクロビオティックコラムカテゴリー別記事一覧
マクロビオティックを考える
マクロビオティックフリートーク
マクロビオティック失敗談・初めての体験記
マクロビオティック実践記
アトピー性皮膚炎との歩みシリーズ
7号食実践記シリーズ
マクロビオティックからの卒業
マクロビオティック卒業後コラム
心の健康
運営者ブログ新着記事