皮膚病(アトピー性皮膚炎)の食養療法

アトピー性皮膚炎 マクロビオティック羅針盤

皮膚病(アトピー性皮膚炎)の原因

遺伝の要素が強く、抗原抗体反応で起こる病気と考えられています。

埃や花粉、動物の毛、かびの胞子、食物などが抗原となっており、病院で検査ののちそのようなものを避ける生活を送る必要がありますが、同時にマクロビオティック的な食生活を送ることでも体質の改善が図れると思います。

マクロビオティック的には、アトピー性皮膚炎を引き起こす潜在的原因は膨張性、極陰性の食品だと考えられています。

白砂糖、その他精製甘味料、砂糖の入った菓子、チョコレート、清涼飲料水、乳製品(牛乳、生クリーム、バター、ヨーグルト、カッテージチーズ、アイスクリーム)、油脂、白パン、クッキーなどの精白小麦粉を使った製品、添加物、刺激物、コーヒー、アルコール、熱帯産の果物、果汁の摂りすぎが主な原因です。

また、ほんの少量のサラダも含む生食品も良くありません。(漬物は良いです)

皮膚病(アトピー性皮膚炎)の食養療法

乳製品や白砂糖、コーヒー、果物、果汁などの陰性食品、小麦粉を堅く焼きしめたパン、クラッカー、クッキーは特に排除します。肉、魚、卵のような極端な食品も厳密に避けます。
皮膚病(アトピー性皮膚炎)は陰性が強い状態なので、食事は陽性寄りでととのえます。煮しめなど、長く火を通しましょう。味つけは味噌醤油天然塩で少し濃いめに。
アトピー性皮膚炎の場合、豆類は頻繁には摂らないようにします。(特に大豆など大きな豆。小豆の方が良い)
症状がだいぶ改善されてくれば食事は『マクロビオティック基本食(食養療法時)』の範囲内で自由に摂ってくださってかまいませんが、それまでは以下の事項に留意してください。
主食(全粒穀物)…5割~6割

玄米ご飯を主食とします。昆布は必ず入れて炊きましょう。黒米キビアワなどの雑穀を混ぜて炊くのも良いです。

精白小麦粉は避けます。ソバも排出作用が強いので、なるべく控えた方が良いでしょう。

副食…4割~5割

皮膚病(アトピー性皮膚炎)には特に味噌と海藻が良いですから、毎日お椀に軽く1杯から2杯の味噌汁を飲み(ゴボウ汁がおすすめです)、ワカメや海苔、昆布、ひじきも積極的に摂ってください。

野菜の中では、ゴボウ、ニンジン、大根などの根菜を多めに使います。その他、青菜(小松菜、大根の葉、カブの葉など)も多く摂りましょう。球形の野菜(かぼちゃ、キャベツ、玉ネギなど)も毎日組み合わせて食べましょう。ただしどの野菜も生では食べず、長く火を通し、味をやや濃い目にしてください。(きんぴら小松菜と油揚げの煮浸しがおすすめです。)

根菜類と昆布の煮物、小豆カボチャも効果的です。

また、毎日半粒~1粒の梅干しを食べると、血液が強化されます。

漬物やふりかけ(鉄火味噌ごま塩)も症状解消に役立ちます。

禁忌食(食べてはいけないもの)

陽性が強すぎるもの
精製塩 / 卵 / 鳥肉(鶏、鴨、きじなど) / 獣肉(牛、豚など) / チーズ / 魚介
陰性が強すぎるもの
白米など精製した穀物 / 冷凍食品、缶詰 / 熱帯性の野菜、果物全部、ナス科の植物(ナス、トマト、ジャガイモ) / 牛乳、クリーム、ヨーグルト、アイスクリーム / 刺激の強い飲み物(コーヒー、紅茶など)) / 香辛料 / 砂糖など精製した甘味料 / アルコール / 防腐剤、着色料など化学物質を含んでいる食品
動物性油脂を避けるのはもちろんのこと、油脂の多く含まれるナッツ類もなるべく摂らないようにしましょう。揚げ物など、どうしても油っこいものが食べたいときは、内臓の油を溶かす作用のある大根おろしなどをたっぷり添えましょう。
添加物(合成着色料、合成保存料など)は白砂糖よりも陰性が強いので、原材料表示をよく見て避けましょう。
生食品は避けますが、中でも、経験上、生の小麦粉が最も湿疹の悪化しやすい食べ物です。生焼けのパンや、パンの表面に残っている打ち粉の小麦粉に注意しましょう。パンをどうしても食べたいときは、全粒粉を用い、打ち粉をしないで焼きましょう。
全粒粉のパスタであれば、週に一度ほど食べても大丈夫です。

その他アドバイス

よく噛んで食べる
一口に200回くらい噛んで、ドロドロにしてから飲み込みます。
甘い野菜のスープ
熱い甘い野菜のスープを、小さなカップ(100~150cc程度)に朝と夜一杯ずつ、お茶代わりに3~4週間飲むと、体質が穏やかに中庸へととのえられていきます。
食べ過ぎない、夜遅く食べない
アトピー性皮膚炎の人は消化機能(胃腸)があまり強くないとされています。ですから、胃腸に負担をかけるような食べ方はしないようにしましょう。食物はよく噛んで、分量も腹八分目にとどめましょう。就寝の4~5時間前には食べ終えていると、寝ている間に内臓が休まります。
場合によっては皮膚薬も併用する
皮膚の症状がひどいのに、食べ物だけで治そうとして薬を完全に断ってしまうのは安全とは言えません。私は、皮膚に症状が出てきた場合、少量の薬を塗って抑えています。食養療法と並行して、薬による治療も続けた方が良いのではないかと私は思っています。食事に気を配っていると、薬を使う頻度や量は減ってきます。
皮膚に刺激を与えない

保湿には純粋な椿油など、なるべく皮膚に刺激の少ないものを用います。

私は、最近「ヘパローション」というワセリンベースの保湿乳液を顔や身体に使っていますが、刺激が無く、保湿力も高いので気に入っています。

お風呂に入るときも体をタオルでゴシゴシこすらず、低刺激の石鹸をよく泡立てて軽く肌をなでる程度にすると良いでしょう。