頭痛の食養療法

頭痛 マクロビオティック羅針盤

頭痛の原因

頭痛は、脳出血や脳梗塞など重い病気が原因で引き起こされることがあり、その場合は早急に神経内科、もしくは脳神経外科を受診する必要がありますが、それ以外の慢性頭痛や片頭痛は食事の不均衡が潜在的要因で起きる場合が多いとされます。

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前頭部の頭痛

…前頭部は脳の中では陰性であるため、その陰性を増幅させすぎるような食物の過剰摂取が原因となります。

たとえば、砂糖、チョコレート、はちみつなどの甘味料、果物や果汁、牛乳やアイスクリーム、ヨーグルトなど液状の乳製品、アルコール類、コーヒー、薬剤などです。食品添加物や化学調味料も大きな影響を及ぼします。

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後頭部の頭痛

…後頭部は脳の中では陽性のため、陽性に傾けさせすぎる食物の過剰摂取が原因となります。

肉、卵、焼いた魚や魚介類、塩気の強いもの、チーズ、小麦粉を堅く焼いた食品(パンやクッキー)の食べ過ぎが良くありません。

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側頭部の頭痛

…側頭部の頭痛は脂っぽい食品の摂りすぎが発端となることが多いです。

・左側頭部の頭痛は、それに加えて極陰性の食品(砂糖、果物や果汁、清涼飲料水、アルコール、スパイスや刺激物)を過剰摂取したときに起こります。

・右側頭部の頭痛は、極陽性の食品(肉、卵、チーズなどの乳製品、焼き魚、塩気の強い食品)の摂りすぎが原因となることが多いです。

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頭の中心部の頭痛

…頭の中心部の頭痛は締め付けられるような痛みである場合が多く、つまり凝集性のある=極陽性の食品の過剰摂取が原因となります。

脂肪が多い動物性食品、塩漬けの肉、卵、キャビア、魚の干物や魚の乾物(ぽんたらやするめ、鮭とばなど)の摂りすぎが良くありません。

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その他の原因

…その他の原因としては、水分、油分の摂りすぎ、食べ過ぎによる消化不良があります。

寝不足、疲労、寝過ぎ、ストレス過多、冷えなど、肉体の不均衡をもたらすことも頭痛を悪化させます。

頭痛の食養療法

頭痛は、対症療法的に治すよりは、全身の陰陽の偏りを正すことによって「そもそも頭痛の起こりにくい体質」に改善していく方が良いです。
全粒穀物を毎食摂り、味噌汁やすまし汁も毎日摂りましょう。
味噌や醤油による味つけは、やや薄味にします。
よく噛むことはとても大切です。一口につき200回噛みましょう。
症状が良くなってくればマクロビオティック基本食(食養療法時)の中で自由に食事を摂ってくださってかまいません。それまでは、以下の事項に特に留意するようにしていってください。

主食と副食

主食(全粒穀物)…5割~6割

必ず毎食、全粒穀物を摂るようにしましょう。玄米ご飯にあわきびなどの雑穀を混ぜて炊くと良いでしょう。

後頭部、側頭部の頭痛など、陽性な食品の過剰摂取が原因と考えられる場合は、ソバ(穀物の中で最も陽性)を主食にすることは避けましょう。

副食…4割~5割

野菜は、根菜類(大根、にんじん、ゴボウなど)、葉菜類(大根の葉、小松菜、白菜など)、球形の野菜(玉ねぎ、かぼちゃなど)を組み合わせ、バランス良く食べていきましょう。

ただし、ジャガイモ、トマト、ナス、アボガドなどの熱帯産野菜、生野菜は避けます。漬物は良いです。

味噌汁は毎日摂ります。具として上記の野菜や海藻(昆布、わかめ)を入れましょう。

具体的な料理としては、小豆かぼちゃがおすすめです。内臓に優しくはたらきかけ、陰陽バランスをととのえてくれます。

禁忌食(食べてはいけないもの)

陽性が強すぎるもの
精製塩 / 卵 / 鳥肉(鶏、鴨、きじなど) / 獣肉(牛、豚など) / チーズ / 魚介
陰性が強すぎるもの
白米など精製した穀物 / 冷凍食品、缶詰 / 熱帯性の野菜、果物全部、ナス科の植物(ナス、トマト、ジャガイモ) / 牛乳、クリーム、ヨーグルト、アイスクリーム / 刺激の強い飲み物(コーヒー、紅茶など)) / 香辛料 / 砂糖など精製した甘味料 / アルコール / 防腐剤、着色料など化学物質を含んでいる食品
油を多く使った料理やスナック菓子も避けましょう。
肉や魚、卵などの動物性食品は陰陽の不均衡を招きやすいので、症状が改善されるまでは一切摂らないほうが安全でしょう。
果物は食べない方が良いですが、どうしても食べたいときは加熱したり塩を一つまみかけるようにします。
消化不良を起こさないよう、夜遅くに食べることはやめましょう。

その他アドバイス

前頭部の頭痛には梅醤番茶

前頭部の頭痛改善には「梅醤番茶(レシピ)」を少量飲むのが良いです。

ごま塩鉄火味噌を小さじ一杯程度摂るのも効果的です。

後頭部の頭痛には温めたりんごジュース
後頭部が痛む場合は、りんごジュース(りんごをすりおろしてさらし布で絞り、鍋で加熱したもの)を小さなカップに一杯ほどゆっくり飲むと良いです。梅の濃縮エキスを少量摂るのも良いです。また、熱い湯につけて絞ったタオルを肩や首の後ろに当てると楽になります。
側頭部の頭痛には大根おろしの絞り汁
側頭部の頭痛には、「水カップ1、大根の絞り汁大さじ2」を小鍋で加熱し、醤油を少したらして味つけた飲み物が良いです。長ねぎや玉ねぎの味噌汁(やや薄味)も良いでしょう。
中心部の頭痛には穏やかな陰性のもの
中心部の頭痛には、加熱したりんごや温めたりんごジュース(りんごをすりおろしてさらし布で絞り、鍋で加熱したもの)、小さなカップ1杯の熱湯に米酢米飴を小さじ1杯たらして混ぜた飲み物が良いです。
痛みがひどい時は病院へ
上記の方法で頭痛がまったくおさまらず、痛みがひどいときは、重篤な病気である可能性もあるので、我慢せずに神経内科、もしくは脳神経外科を受診してください。
(この項の主な参考文献:久司道夫著『THEマクロビオティック』p.167-p.170)