途中でやめたり肉を食べたりしていいのか?
失敗と自己嫌悪
マクロビオティックは、心身ともに中庸の、平穏でバランスの取れた状態を目指すための実践型哲学です。真理であるため、その姿はまばゆく、とても高尚に見えます。
その輝く宇宙の真理目指して、私たちはマクロビオティックに取り組むわけです。
……ですが。そううまくいくわけがありません! 私たちは煩悩あふれる、肉体を持った「人間」です。完全に精神的に生きることはできません。
マクロビオティック基本ルールの中のたった一つでさえ、徹底させるのは難しいのです。(参考:理論編『マクロビオティック基本ルール』)
化学調味料を摂らないと決めたとしても
たとえば「化学調味料は絶対に摂らない」と決めたとします。すべての食材を自然食品の店で揃え、外食もせず、家で真面目に調理し食べていれば化学調味料を避けることは可能です。
しかし、旅行などでどうしても家を空けなければいけないことだってあります。旅先で自炊するのは困難です。やむを得ず化学調味料入りのものを食べることもあるでしょう。
あるいは、もっと単純に、欲望に負けて化学調味料入りのスナック菓子や魚肉ソーセージなどを食べてしまうこともあるかもしれません(これは、私自身の経験でもあります)。
「マクロビオティックのルールを破ってしまった! せっかく頑張っていたのに、もうダメだ、元の木阿弥だ、なんて意志が弱いんだ」という自己嫌悪にさいなまれ、マクロビオティックを継続する意欲を失ってしまうかもしれません。
反省と再挑戦の繰り返し
けれど、途中で挫折してしまったからと言って、自分にがっかりしたり絶望したりすることなんてないのです。マクロビオティックを始めた人が皆通る道です。マクロビオティック創始者の桜沢如一氏もこうおっしゃっていますよ。
『どうしても甘い物がやめられない人は、甘いものを食べてよろしい。大いに食べてよろしい。すると心の中では、ああ悪いことをしている、という自覚はあるのですから、おそかれ、早かれ後悔しましょう。(略)それでいいのです。』
『そして、もう二度とあんなばかなことはせぬ、と固く心に誓うようになります。それでも、またしばらくたつと、いつのまにか心がにぶって、間違いをくりかえします。(略)そんなことを、(略)千度も万度も何年も何十年もくり返すのです。そのうち、(略)自然の掟、宇宙の秩序に従うようになります。』 (*1)
千度、万度、何年、何十年もの失敗の繰り返しがあるだろうことを、桜沢氏は想定しています。そう思うと気が楽になりませんか?
途中でやめてもいいです。肉を食べてもいいです。ただ、マクロビオティックを継続していこうという志だけは忘れないようにしてください。
目的地を指すコンパスさえ持っていれば、途中で少しくらい道に迷っても、ゴールに確実に近づいていけるはずです。
あまり気負わず、マクロビオティックに取り組んでみましょう。
次項:物足りず食べ過ぎる
次の項(「物足りずどうしても食べ過ぎてしまうのだけれど……」)では、マクロビオティック食に感じるストレス、その克服法について考えます。