マクロビオティックQ&A素朴な疑問編

物足りずどうしても食べ過ぎてしまうのだけれど……

全粒の穀物で、一口百回以上噛むなら、多少の食べ過ぎは可。欲求が強すぎて苦しい場合は7号食を数日試してみる。あとは、失敗するのを自分に許し、おおらかな気持ちでマクロビオティックを続ける。

物足りない

それまでこってりとした、動物性のものを多く含む料理を食べてきた方には、マクロビオティックの概念を元に作られた料理が物足りなく感じられるかもしれません。

すぐに体が慣れてくるとは思いますが、肉体の煩悩は断ち切りがたいものです。満腹なはずなのにどうも満足できなくて、限度を超えて食べてしまうこともあるかもしれません。

無精白で全粒の穀物(玄米、ソバ、小麦、トウモロコシ、大麦、キビ)なら、よく噛みさえすれば好きなだけ食べても良いことになっています。(*1)

ですから、食べ過ぎてしまうのが玄米ご飯や10割ソバなどである限り、噛むこと(一口百回以上)を心がけるなら気のすむまで食べても良いと思います。

しかしながら、制御がきかないまま体の限界を超えて食べ過ぎることを続けては害になります。(参考:実践編『マクロビオティック実践における留意点は?(水分摂取量など)』)

やはり、腹八分目が基本です。

穀物ならたくさん食べても良いと言われても、「物足りない」と思う心をどうにかできなければ、根本的な解決にはならないでしょう。

「これ以上食べるのは良くない」と思うのに食べるのをやめられないのは、肉体が精神を制圧し、振り回しているからです。理性の言うことを聞けない肉体は厄介なものです。

暴れ馬のような欲望(陽性)を、正しい食品と精神力(陰性)で統制する必要があります。あまりにも激しい欲求は、ちょっとやそっとの正食では収まらないでしょう。荒療治ですが、最も厳格なマクロビオティックを短期間でも行ってビシッとムチを打たねばなりません。

7号食を一日でも実践してみることを参考にしてみてください。

玄米、ごま塩、漬物だけ

7号食とは、基本的に穀物100%の食事のことです。(参考:理論編『マクロビオティックの十段階…-3号食から7号食?』)

つまり玄米ご飯だけ!という食卓です。穀物100%であれば良いのですから、全粒でさえあれば玄米以外でも良いでしょうが、栄養の面から言って玄米が一番優れているし、噛めば甘く味覚的にも続けやすいので、玄米がおすすめです。

実際には、米ご飯にごま塩、梅干し、漬物を添えた感じになります(飲み物はほとんどなし)。これが、マクロビオティックでは最も簡単で賢明とされる食事です。そして、私たちのような贅沢な食事に慣れた人間には一番きつい食事です。

そのきつさが良いのです。私も体験しましたが、食卓に、梅干しをのせた玄米ご飯だけがどーんと据えられた様子は、驚異です。滑稽ですらあります。一日中、それ以外のものを食べることは許されません。(詳しくは『7号食実践記』をご覧ください)

初めは煩悩が頭を渦巻きます。私の場合、「砂糖入りあんこたっぷりのおやきが食べたい」と激しく思いました。しかし我慢です。失敗の許されているマクロビオティックですが、ここだけは厳しく頑張ってください。

この僧侶のような食事を一日でも実践すると、「肉~砂糖~」という体からの悪魔の声がだいぶ静まることを感じるはずです。

満腹になれば、それ以上食べたいとも思わなくなります。マクロビオティック的な食事に対し、「物足りない」とも感じにくくなっているでしょう。

これが、精神で肉体を制するということです。

7号食の効果…実体験から

私も、「このくらいなら食べていいかな」という油断が積み重なって、食後にポテトチップスを食べたり、おにぎりを食べたり、とうきびの缶詰やパンを食べたり、それでも満足できなくて夜遅くまで食べているような状態になったことがあります。

ベスト体重から3キロも太りました。

ジーパンのボタンが閉められなくなって、ジャケットもパンパンになって、これはいけないと思い7号食を実行しました。

もっと早くに実行すれば良かったのですが、7号食はきついということがわかっているので、なかなか勇気が出なかったのです。

やっぱり、7号食は辛かったです。一日に、梅干しと漬物、ゴマをのせた玄米粥を一杯しか食べませんでした。ジャンキーなものへの欲求(肉体からの悪魔の声)がわきましたが「やあね~」で流しました。

その一日で1㎏減。どれだけ胃に物がつまっていたのでしょう。翌日からは通常の食事(玄米ご飯+具だくさん味噌汁)に戻しましたが、間食は一切なくなりました。食べなくても平気でいられるようになったのです。

間食がなくなったおかげで、体重は少しずつ元に戻ってきています。

7号食はきつい。けれど、効きますよ!

いくら抑えても何度もぶり返す…失敗はつきものだと開き直る

猛った食欲を一度抑えるのに成功しても、また数日経つとぶり返してきてしまう……。そんなこともあるかもしれません。

まず、マクロビオティックに取り組んでから一年半くらいは、そういう失敗が頻繁にあると思った方が良いです。それまで好きで食べていたものをやめようとするわけですから、慣れるのに時間がかかって当然です。

私が特に離れるのに苦労したのはスナック菓子です。チーズのたっぷりかかったような油っこいものが大好きで、体に良くないと思いながらも、つい手が伸びることがありました。

そんな私ですが、この二ヶ月間、一切スナック菓子を食べないことに成功しています。

最後に食べたのは2008年7月下旬。親知らずを抜歯した後に発熱して二日ほど寝込んでいて、ようやく体が楽になってきたと思った頃。

もう夜の11時過ぎだったのですが、突如として、どうしてもチーズたっぷりのポテトチップが食べたくなってしまったのです。

ベッドから飛び起き、一階に駆け降り、食品庫を開けてポテトチップスの袋をむしり取り、一心不乱に食べました。

一袋食べ終えて、もう一袋に手を伸ばしました。それを半分ほどたいらげたところでようやくお腹が一杯になり、落ち着きました。

夜の11時過ぎに、病み上がりで、ポテトチップスを胸焼けがするまで1袋半むさぼり食べた。これで、スナック菓子への執着がほとんど消えたようなのです。

以来、一度もスナック菓子を食べずに済んでいます。

食べたいという欲求を満たし尽くしてそのさらに上を行くくらい食べれば気が済むということもあるのかもしれません。

失敗は繰り返すものです。そのとき大事なのは失敗を隠さないことだと桜沢如一氏(創始者)はおっしゃっています。悪いことをしたと自分を責めず、開き直って、マクロビオティックを続けてください。

そのうち、正しい食の態度が自然に身に付きます。我慢しなくても、「食べる必要を認めないから食べない」自分になれます。

食べ物のことを考えすぎているというのもあるかも?

食べてはいけないと思うのに食べ過ぎてしまう……という状況が発生する原因としてもう一つ思い当たるのが、「食べ物のことを考えすぎている」ということです。

たとえば仕事が忙しくて、食事をする時間を確保することすら難しいときなどは、食べ物に気を取られませんよね。

マクロビオティックでは基本的に「何をどう食べるか」が重要になるので、食べ物のことを考えてしまうのも無理はないのですが、食事以外の時間の方がたくさんあるのですから、食事が終われば別の趣味や仕事などに打ち込んでみてはいかがでしょうか。

私たちは正食のために生きているのではありません。楽しく生きるために正食があるのです。あまり食べ物やマクロビオティックにとらわれすぎず、人生をより情熱的に輝かせることに主眼を置いてみてください。

私自身、仕事が立て込んできてから、間食の欲求がぐっと減りました。今まで暇で、食べ物のことばかり考えていたんだなあと気づいた次第です。

次項:マクロビオティックは綺麗事?

次の項(言っていることが浮世離れしすぎているように感じるが?」)では、マクロビオティックの概念がいまいち綺麗事すぎて親しみがわかないと感じている方へのメッセージをお伝えします。

(参考:*1 桜沢如一著『ゼン・マクロビオティック』p.76)