鮑の炭火焼き

↑(夕飯その1からの続き)そしてお次は、「強肴(しいざかな)」の「鮑とバイ貝の炭火焼き 肝ソース(+わかめ、しめじ)」です。真っ赤に燃えた炭が入った七輪が運び込まれて、仲居さんが網の上で焼いてくださいます!
なんだこのパフォーマンスは……(笑)と思いながらも、こういうのがあると楽しいですよね。
貝殻の中でグツグツと煮える鮑……。

↑火にかけてから3~4分で食べ頃となり、仲居さんが器にのせてくださいました。
味噌煮込みっぽい
この、「鮑の肝ソース」という料理はあらや滔々庵の名物らしく、色んな「あらや滔々庵旅行記」を見ると必ずと言って良いほど夕食に出ていたので、私たちのときも出るのかなと思っていたら出てきました(笑)。
私は「肝(キモ)」が得意でなく(レバーやフォアグラなども)、「肝ソース」というのがどんなものなのか不安だったのですが、おそるおそる食べてみると、意外なほど肝っぽくない!
八丁味噌っぽい、辛みのきいた味噌の風味が前面に出ていて、「味噌煮込み」といった感じの味わいです。
これなら大丈夫だ! と思って安心して食べました。全体的にミディアムレアといいますか、火が通りすぎていない感じで、食材の新鮮な味わいを感じられました。目玉の鮑はキュッキュシャキシャキしていて歯ごたえが良く、磯の香りがして肝ソースとの相性も良く、美味しかったです。
(歯があまり良くない母は、鮑を苦手としているのですが、そんな母も「ぎりぎり食べられる固さだった」と言っていました。)
蒸し物

↑次は「蒸し物」。加賀祝い料理の「鯛唐蒸し(からむし)」です。
とろみのついた薄味のだし汁の中に、鯛の身でくるんだおからが入っています。
このおから、プレーンではなく、五目おからといいますか、中にごぼうやしめじが入っていて、味わい深く美味しいのです。そして、すり鉢ですってあるかのようにとっても滑らか。
おからですから、箸でつまむうちにボロボロ崩れて、しまいにはだし汁の中にどろどろに溶け、すべてをすすって飲むことになりました(笑)。
母の定年退職を意識して出してくださったであろう「祝い料理」に心が温まります。
毛蟹

↑次は「酢の物」の「ゆで毛蟹」。加賀野菜の「加賀太胡瓜(かがふときゅうり)」「金時草(きんじそう)」が添えられており、土佐酢に浸しながら食べる趣向です。

↑蟹の身は自分でほじって出すことになりますが、これが、毛蟹のトゲが指に刺さって痛い!!(笑)
母と「痛い痛い」と言いながら黙々と身を掻き出しました。
しかし、蟹の酢の物なんて贅沢ですよね。痛い思いをした分、ありがたみもアップした気がします。
あと、加賀野菜二種、初めて食べましたが、胡瓜はみずみずしく、金時草はクセがなく体に良さそうで、もっと食べたい感じでした。
とろろ飯!

↑いよいよ「お食事」! 「とろろ飯」です。もうネーミングだけで美味しそうです。「白山なめこの赤だし」、「香の物」(白菜、大根(赤紫蘇漬け)、野沢菜)つき。
香の物は自家製なのだそうです!

↑ご飯はおひつで出てきます。石川県産無農薬米とのことで……石川県産というだけでも旅行情緒あふれていて嬉しいのに、さらに無農薬とは素晴らしいっ!!

↑ご飯にとろろをかけ、針のりとわさびをのせていただきます。
美味しい
これが……とっても美味しい~~~!!
まず、ご飯が美味しいです。つやつや、ふっくらで、一粒ずつが立っています。そこに、味噌とだし汁でちょうど良い味のついたとろろをかけ、ご飯とともに食べると、これまた美味しい~~!!
とろろの味が足りなければ醤油をかけてくださいとのことでしたが、醤油は一切使わず済みました。

↑おひつのご飯は、何杯もおかわりできるようにたっぷり入っています。本当は、おひつが空っぽになるまで食べたかったです。けれど思い浮かんだのは翌日のこと。
朝食を美味しく食べたいし、その後、「平泉寺白山神社に行く」というかなり重大な予定をこなすのに、胃もたれでは電車で乗り物酔いしてしまうかもしれない。
体調を考えれば、ここで食べ過ぎるのは得策ではない……。
ということで、泣く泣く、おひつのご飯は食べきらず、「腹八分目」でとどめることにしました(それでも、茶碗に軽く三杯は食べました)。
デザート

↑そしてラスト! 「デザート」の「栗アイス、水ようかん、梨」です。
デザートが運ばれてきたタイミングで、翌日の朝食の希望時間を聞かれました。7:30から三十分刻みで9:00まで。私たちは8:00を希望。
さて! それでは最後のお楽しみをいただきます! 「栗アイス」はお取り寄せ品とのことでしたが、栗たっぷりで、栗好きの母が大喜びしていました。超キンキンに冷たかったです。
「水ようかん」は甘さ控えめでツルンと美味しい。「梨」もジューシーで、口の中が最後に爽やかになりました。
体に優しい内容
こうして! 計三時間ほどかけた夕食が終わったのでした。
夕食の中で、肉は「鴨ロース」だけ。あとは野菜、豆腐、魚介類で構成されていたのが体に優しくて私たち好みでした。
事前に「あらや滔々庵」の夕食の評判を調べていた際、「味が濃い」という声も目にしていたのですが、まったくそんなことはなく、すべてほどよくちょうど良い味付けでした。
手抜きの料理がなくて、どれも手が込んでいて、「こういうスタンダードな懐石料理が食べたかったんだよ!!」という感じ。とても満足しました。美味しかったです。
この夕食だけに値段をつけるなら「1万5千円」だねと母と話しました。
仲居さんの距離感も良い
食事中、仲居さんは部屋にずっとつきっきりなのか? それとも配膳のときだけいらっしゃるのか? ということが旅行前は気になっていたのですが、実際は後者で、料理を運んでくださったあとはすぐに部屋から去られるので、母と水入らずでリラックスしながら食事を楽しむことができました。そのへんの心遣いもさすがだなと思いました。
あと、ご飯がおひつで出てきて好きなだけ食べられるのが良いですね。ここで、満腹加減を調整できます。おひつのご飯すべてを食べればかなりお腹いっぱいになるんじゃないかなと思いました。
加賀の地のもの(食前酒(菊姫)、白山堅豆腐、毛蟹、加賀太胡瓜、金時草、白山なめこ、石川県産米等)がたくさん出てきたのも嬉しかった! 地元(北海道)では食べられないものばかりなので、どれも輝いて見えました(笑)。
「夕食が美味しい宿」という条件を掲げて選んだ「あらや滔々庵」。大正解だったと思います!
食後は、バーの「有栖川山荘」の見学に行くことにします。それでは出発!(→「あらや滔々庵離れのバー有栖川山荘」に続く)