この健康法で病気を治した道のり

マクロビオティック実践の果てに病に堕ちる

マクロビオティックに慣れすぎて

2009年6月。私は、体調を大きく崩しました。

生まれ育った北海道を離れ、妹と東京で二人暮らしを始めてからわずか四ヶ月後のことでした。

当時、私は熱心な、独学のマクロビオティック実践者でした。

マクロビオティックを実践し始めてから二年以上経ち、理論も実践法もあらかた身につけて、最高の健康を得ていた頃でした。

マクロビオティックで学べることは学びきり、実践することは実践し尽くし、マクロビオティックがすっかり自分にとって自然のものとなった。そんな段階に入っていました。

しかしマクロビオティックに熟達すればするほど、未知の世界を開拓する喜びは失われていきます

閉塞感

私は閉塞感に苦しめられ始めました。

健康も得た。健康を維持するための食べ方もわかった。あとはその食生活を繰り返していけば間違いないのに、それがなんとも息苦しい。

決まった食材で、同じような食事をこれから先何十年も続けていくと考えると、未来が固定化されてしまったような面白みのなさを感じたのです。

マクロビオティックのルールに縛られすぎた食生活はイヤ。

私は、自分にからみつくマクロビオティックという縄をふりほどくように、マクロビオティックではない、新しい健康法に手を出しました。

それは、「にんじんりんごジュース」を朝食として摂るという方法でした。

にんじんりんごジュースに依存しすぎて……

にんじんとりんごの皮と実をカスとして捨て、しぼり汁だけを毎日飲む。

これは、皮も実も全部食べる「一物全体」を良しとするマクロビオティックだけを見つめていれば決して思いつかない、斬新なやり方でした。

きっとこの新たなアイテムが、私の食生活に新たな息吹をもたらしてくれる。

私はジューサーまで買って、にんじんりんごジュースを本格的に作り、飲み始めたのです。

けれど、にんじんりんごジュースを食生活に取り入れたのち、破綻は早々にやってきました。

全身に力が入らずフラフラになり、ベッドから起きあがることもできなくなったのです。

栄養失調

甘いにんじんりんごジュースを飲み過ぎてお腹がいっぱいになり、他の食事をまともに摂れない日が続いた結果の栄養失調でした。

体温は平熱を下回り、体はだるく、どこまでも重たい。呼吸は浅く、冷や汗が出て、枕の上で頭をずらす力すら出ない。

自分はこのまま死んでしまうのではないかと思うほど、体中から生命力が失せていました。

(詳しくは「にんじんりんごジュース飲み過ぎて失敗」(マクロビオティックコラム内)参照)

これに懲り、マクロビオティックの真面目な食生活に戻せば私は元の健康を取り戻せたでしょう。

しかし私はそうはしなかったのです。

暴飲暴食を重ねる

栄養失調状態からは、種々の野菜を摂ることで一週間かけてなんとか抜け出しました。

しかしせっかく回復したその後も、「にんじんりんごジュースは失敗してしまったけれど、別の方法でどうにかマクロビオティックのがんじがらめの網を破り、食生活の幅を広げたい」ということばかり考えました。

そこで実行したのが、マクロビオティックでは禁忌とされているものをあえて食べるという暴挙でした。

私は、病み上がりの体に鞭打つように、缶チューハイや惣菜パン、菓子パン、ハンバーガー、焼肉などを毎日のように飲み食いしました。

マクロビオティックのルールに反することで、自由を感じようとしていました。

そうして私はまた一歩、深い病の闇へと足を踏み入れたのです。

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