【大相撲】名寄岩にまつわるお気に入りエピソード~少年との出会い、親孝行【名寄岩展・4】

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北海道名寄市で開催された「名寄岩の生誕100年記念展」行ったので、その内容を二回に分けてご紹介しました(1・名寄岩の来歴2・展示品紹介)。

記事を書くにあたり大変参考にさせていただいたのが、名寄岩展で購入したこの『名寄岩物語』!!↓

名寄岩 静男 力士 大相撲 名寄市北国博物館 100周年記念展 本

↑B5判、34ページ、500円。名寄岩の生まれてから亡くなるまでのあらましがよくまとまっており、名寄岩ファン必携の一冊! といえます

2017年追記:『名寄岩物語』は、2014年時点では、名寄市北国博物館に代金を前払いの上で取り寄せることが可能でしたが、現在はその記述が公式サイトから削除されており、取り寄せられるか不明です。気になる方は名寄市北国博物館に直接問い合わせてみてください。

お気に入りエピソード

この「名寄岩物語」には、名寄岩の人物像がよくわかるエピソードがいくつも紹介されているのですが、その中でも私が気に入ったものが二つあります。

呉(くれ)少年との出会い

一つめは、『呉直彦(くれなおひこ)少年との出会い』。呉直彦さんはのちに日大付属病院の医師となり、体調の悪い名寄岩に診察を受けることを勧めた人です。

結果、数々の病気(心内膜炎、腎臓病、糖尿病、脚気等)が発覚し、名寄岩は二度目の入院をします。おかげで、体調が最悪になる一歩手前で踏みとどまることができ、次の場所で辛くも勝ち越した名寄岩は敢闘賞を受賞します。

靖国神社の奉納相撲にて

そんな、名寄岩の応援者であった呉さんと名寄岩との出会いは、呉さんが八歳のときに遡ります。

昭和9年、靖国神社の奉納相撲に母親と来ていた呉少年は、花道の人混みの中で精一杯背伸びをして相撲を見ようとしていました。けれども、ちっとも見えないのです。

『母さん、見えないよう…』

そのとき、『坊ちゃん、抱いて見せてあげよう』と呉少年を軽々と抱き上げたのが、19歳の名寄岩だったのです!!

名寄岩 静男 力士 大相撲 名寄市北国博物館 100周年記念展 涙の敢闘賞

↑名寄岩は当時、その前年に四股名が番付に載ったばかりの若手力士。そんな名寄岩が、呉少年を『高々と立派な腕で抱え上げ、彼の満足がいくまで相撲を見せた』(*1)といいます。

この一件から名寄岩は呉少年の「英雄」となり、その後長きにわたる親交が始まるきっかけともなるのです。

カッコイイ

人垣が幾重にも立ちはだかって土俵が見えず焦(じ)れているときに、現れた立派な力士。見上げたその姿はどんなに逞しく、堂々と輝いて見えたでしょう。

想像すると本当にカッコ良くて、「キャーーーッ!! 名寄岩ぁーーーッ!!」と声援を送りたくなります。

自分をひょいと持ち上げてくれた太い腕。目の前の景色が開け、土俵と、熱気あふれる取り組みが見えたとき、呉少年の胸に広がった喜びはいかばかりか。

呉さんが一発で名寄岩のファンになってしまうのもうなずけます。

それにしても、このときに名寄岩が見知らぬ少年にかけた優しさが、のちに自分自身を救う(病気を治療する機会を得る)ことにつながるとは、「情けは人のためならず」とはこのことだなとも思います。

親孝行

名寄岩お気に入りエピソードの二つめは、『親孝行の心』です。

上記の呉少年が大人になり、名寄岩が初めて呉家を訪れたときのこと。

話が弾んで夜も更けたため、呉家に泊まることになった名寄岩。

呉さんの母が客間に布団を敷いたところ、名寄岩は、『奥さん、遠慮なくやすませていただきますが、私は”北まくら”でないとやすまれませんのです』と言います。

『母は不審な面持ちで「北まくらですか?」と聞くと「そうです。世間ではいやがる北まくらですが、わたしのおふくろは北海道にいます。だから、わしはおふくろに足を向けないために、いつも…こうして寝ます」』と答えたというのです。(*2)

このエピソードを聞いて、私はとても胸を打たれました。名寄岩の力士としての頑張りにも感動しましたが、一番すごいと思ったのはこの親孝行の心なのです。

親が北にいるから、北に足を向けて眠ることをしないとは……心底から親を尊ぶ気持ちがなければできないことです。

親孝行の心とはこういうことを言うんだと思いました。格好いい、格好いいよ名寄岩!!

私も名寄岩を見習って、「親に足を向けては眠れない」という気持ちを持って生きようと思いました。

(引用:*1*2 「北国ブックレット 名寄岩物語~砂付けて男を磨く相撲とり~」p.12,p.13)

相撲人生のジグザグ

2013年に遠藤ファンになり大相撲を見るようになってから、ずっと「今」の力士の動向を追ってきましたが、今回、初めて「名寄岩」という「すでに引退して亡くなっている」力士を深く調べる機会を得、相撲の面白さは「短期間の結果」だけでなく「長期間の経過」にもあると改めて感じました。

短期間だけ切り取ると散々な結果でも、その後の頑張りで持ち直したりもする。逆に、順調に勝ち進むと見えたのに、怪我や病気で沈む。

このような、何があるかわからない相撲人生のジグザグこそが、その力士特有の物語であり、それを見守るのがファンの楽しみでもあるのですね。

名寄岩のストーリーは本当にドラマチックなものであったと思います。

これから、「今」の力士たちがどんな物語を紡いでいくのか、その展開を見るのが楽しみです。

昭和の相撲界を駆け抜けていった名寄岩。

私も名寄岩のように、困難にへこたれず、粘り強く頑張れる自分でありたいと思います。

こんな素晴らしい力士と縁があったことをありがたく思います!

名寄岩展・おまけに続く…】

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