アニメ「火ノ丸相撲」、原作との違いを考察~アニメは急ぎすぎで人物の魅力が原作ほど描写しきれてないのが惜しい【単行本1~2巻を読んで】

アニメ・火ノ丸相撲。

初回から最新話まですべて見てきて、とても面白く、毎週楽しみにしているのですが、原作も読んでいる視聴者からのレビューの中に、

アニメ版は原作を改変しすぎている

というような声があるのが前から気になっていました。

私はアニメ版しか見ておらず、それでもそれなりに楽しめてはいたのですが、一体、原作は、「改変されている」というアニメ版とどういう違いがあるんだろうか?

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1~2巻を読んでみた

ということで、火ノ丸相撲の原作コミックスを、とりあえず1巻と2巻だけ読んでみました!!

……結果、なるほど、原作ファンがアニメ版を見て嘆く気持ちもわかるかなと思いました

アニメでは、原作の要所要所がカットされて、その上、時系列も前後した形でつぎはぎになっているんですよね。

そのせいで、人物描写が浅くなって、火ノ丸以外のキャラの魅力が、アニメでは原作ほど表現しきれていない(あるいは、原作とは人間性が異なって見える)ように思えました。

三人で活動していた

火ノ丸相撲
(画像出典:川田著 火ノ丸相撲2巻 p.105)

↑まず、最大のポイントは、

原作においては、最初、「火ノ丸、小関部長、五條君」の三人で相撲部として活動している

ということです。

時系列にしてまとめるとこんな感じ!↓

火ノ丸相撲

アニメでは、五條君の入部は一番最後であり、部員五人を揃えてからインターハイの地区予選に臨む展開になっていました。

けれど原作では、五條君は火ノ丸の次に入部しており、インターハイの前に三人で相撲の団体戦に出ているのです(アニメではこの団体戦は丸々カット!)。

この、三人相撲部の時代を通して、「火ノ丸、小関部長、五條君」の絆が強くなり、不良だった五條君が相撲に向き合うことになっていく様子が自然に描かれているので、う~ん、ここは、できればアニメでも生かしてほしかったです。

ちゃんこ勧誘も三人でやっていた

また、アニメでは、小関部長と火ノ丸が二人でちゃんこ鍋による新入部員勧誘を行っていました(この時点ではまだ五條君が入部していない)。

が、

原作では、ちゃんこ勧誘も三人で行っています。↓

火ノ丸相撲
(画像出典:川田著 火ノ丸相撲2巻 p.114)

↑火ノ丸が美味しくないちゃんこ鍋を作ったのは原作・アニメとも同じなのですが、原作ではなんと、五條君もちゃんこ鍋を作っているんですよね。

しかもその、五條君の作ったちゃんこ鍋は美味しい

この、「五條君が美味しいちゃんこ鍋を作る」というエピソードを通して、

五條君が几帳面な性格であること。

五條君は意外と繊細な感性を持ち合わせていること。

五條君は美味しいものを食べて育っていること(美味がわかるということだから)(=育ちが良い)。

などなど、五條君の「不良っぽさ」以外の人間性が垣間見えて興味深いので、ここがアニメ版では無かったことが惜しい。

原作では國崎の変人っぷりが際立つ

火ノ丸相撲
(画像出典:川田著 火ノ丸相撲2巻 p.114)

↑そして、火ノ丸の作った「美味しくないちゃんこ」を、のちに相撲部員になる國崎が「デリシャス」と言って食べるのは原作もアニメも同じです。

絶対に美味しくはないはずの「火ノ丸のちゃんこ」を美味しがって食べるだけでも國崎の変人っぷりは伝わってはきますが、原作におけるポイントは、國崎が、美味しいと評判の「五條君ちゃんこ」をあえて選ばず、「火ノ丸のちゃんこ」に手を出したというところなのです。

「火ノ丸ちゃんこ」と「五條君ちゃんこ」は並んで売られており、すぐ側では生徒たちが

うまっ! こっちの鍋うめぇ! あっちのはやめとけ まず過ぎて死ぬ

と言いながら「五條君ちゃんこ」に舌鼓を打っています。

しかし、そんな声を聞きながらも、あえて「火ノ丸ちゃんこ」を食べたということが、國崎の変人さをより際立たせていると思います。

礼奈の苛立ちポイント

火ノ丸相撲
(画像出典:dアニメストア 火ノ丸相撲 第二番レスリングvs相撲)

そして。原作でもアニメでも、相撲部に続々と入部志願者が集まってきているのを見て、礼奈が苛立ち、兄である五條君に怒りをぶつけるシーンが描かれます。

しかし原作とアニメでは、礼奈が何に対して苛立っているのかということが微妙に違います。

アニメでは

アニメでは、この時点で、まだ五條君は相撲部に入部していません

よって、礼奈の苛立ちポイントは、

ケンカ最強だったはずの兄・佑真を負かした火ノ丸が憎たらしい。佑真は絶対強いはずなんだから、火ノ丸のことをぶっとばしてほしい。

ということになります。

礼奈の台詞:

火ノ丸に負けてから変よ! また前みたいに強かった頃のお兄ちゃんに戻ってよ! あいつを、火ノ丸をぶっ飛ばしてよ!

原作では

しかし原作では、五條君は早々に相撲部に入っており、礼奈の苛立ちポイントは

相撲をやる兄・佑真のふんどし一丁姿が格好悪くてイヤ。相撲に兄を引き込んだ火ノ丸に腹が立つ。

ということになります。

礼奈の台詞:

私はかっこ悪い佑真なんて見たくないのっ! ふんどし一丁の佑真なんてもう私のお兄ちゃんじゃない!(略)

佑真を誑(たぶら)かした潮火ノ丸って奴をぶっとばしてよぉ!

礼奈の可愛げ

つまり、礼奈が火ノ丸を憎たらしく思う理由が、アニメ版では「兄をケンカで負かしたから」というだけだったのが、原作では、そこに「兄が、格好悪いふんどし一丁の世界に入るきっかけを作ったから」というのが加わっており、原作の方が、礼奈のブラコン(お兄ちゃん大好き)度が増して、可愛げがあるように見えます

アニメ版では、このシーンにおいて、礼奈が、気にくわない相手(火ノ丸)に報復を望むだけの怖い女の子に見えていたので、礼奈の印象的にアニメ版はちょっと損しているように思えました。

うまくまとめてはある

その他、原作では、

久世草介の初登場シーンや描かれ方が違ったり(原作では火ノ丸を高い高いしたりしてフレンドリー。しかも元々火ノ丸と知り合いではない設定。)

石神高校に最初行ったのは火ノ丸と五條だったり(アニメでは「部長、辻、五條、蛍、礼奈」の五人)。

五條君が入部前に火ノ丸と公園で二度目の決闘をしていたり。

細かな違いが色々とあって、アニメ版よりも十倍はストーリーの密度が濃く感じました

……アニメ版も、物語の概要としては間違っていないし、私自身、原作を一切見ない状態で最新話(18話)まで見てきて、それなりに話についてこられてきたので、まあ、うまく原作をまとめているとは言えるのだと思います。

原作は登場人物を覚えやすい

ただ、もしもっと原作の流れに忠実に物語を描いてくれたら、視聴者が、もっと自然にキャラ一人一人を理解して覚えることができただろうと思うと、やっぱり惜しい気がする。

現状、アニメ版だと、登場人物(特に敵)を覚えるのに苦労すると思うんですよね。

火ノ丸の高校以外にたくさんの学校が出てくるじゃないですか? そして、そのそれぞれに敵が所属していて。

一体、誰が、どの高校の生徒なのか。顔と氏名と高校名を結びつけて覚えるのは、アニメ版だけ見ていると至難の業です。

私は、こんな感想ブログを書いている都合上、公式サイトも見ながら必死に登場人物について把握しようと努めますので覚えられますが、アニメを見ているだけの母は、誰が誰やら、名前を出してもさっぱり話が通じません。

できれば、原作の流れとテンポで登場人物を出してもらって、一人一人、じっくり覚えていけるようにしてもらいたかったです。

仕方ないが

まあ、アニメで、最初から限られた話数内で決められたストーリーを描こうとすると、どうしても話が圧縮されてしまうのは仕方ないのだとは思うのですが、火ノ丸相撲に関しては、原作に比べてアニメ版はちょっと急ぎすぎなんじゃないかなという印象が残りました。

原作は1~2巻だけしか読んでいないので、3巻以降を読むとまた違う感想になってくるのかもしれませんが……。

進撃の巨人のように、じっくりと時間をかけたアニメにしてほしかった~。

応援!

私は、この「火ノ丸相撲」という作品、すごく応援していて、人気が出てほしいと思っています。

「相撲」なんて、若者にあまりウケなさそうな題材を少年漫画の題材にしようという心意気自体がすでに素晴らしい。

原作を、どこまでアニメ化してくれるかはわかりませんが、できれば全部アニメ化してほしい~~。

とにかく、これからも毎週、「アニメ・火ノ丸相撲」を楽しみに視聴していこうと思います!

(次の感想→「蛍君がついに一勝を挙げるかと思いきや取り直しで愕然。空気読めない國崎、小心者五條。【第18・19話】」↓)

華奢少年・蛍君が、とんでもない巨漢相手についに一勝をつかむかと思ったのですが、まさかの物言いで夢が潰えました。けれど國崎、五條君が取り戻してくれて、あと一勝で決勝だ!
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