マクロビオティックを楽に実践できるようになるまでどのくらいかかるか?

約二年ほど見ておけば良いと思います。二年で、人間の体を構成する物質はすべて入れ替わります。つまり二年間のマクロビオティック実践で体はマクロビオティックに対応することになります。

葛藤の日々はいつまで続く

食べたいものを我慢して苦しみ、食べちゃいけないと思っているものを食べて罪悪感に苦しみ……。

マクロビオティック実践において、この「欲望と精神の闘い」が一番辛いと思います。

いつまでこんな葛藤を味わわなければいけないのか。食に自由さがなくなりつまらない。こんなことならもうマクロビオティックなんてやめてやるー!

と怒り心頭の方もいらっしゃると思います。

その苛立ちはごもっともです。それまでの食生活を少なからず否定されるのですから、当然ストレスがあります。けれど、葛藤の日々は終わるときが来るのです。本当です。

我慢も罪悪感もなく、自然に、マクロビオティックを実践できるようになるのです。

その目安になるのが二年間という期間です。どうにか耐えてマクロビオティックを二年実践していると、かなり楽になってくると思います。

二年で細胞が入れ替わる

というのも、人間の体を構成している物質は、およそ二年間ですべて入れ替わるのです。(*1)マクロビオティックを実践して二年経つと、マクロビオティックボディーが完成することになります。

最初のうちは、まだ好き放題に食べていた頃の名残が細胞にもありますから、葛藤も強く大変です。

けれど古い記憶を持った細胞は日々死に、新しい細胞が生まれてきています。その新しい細胞にマクロビオティックの理論と食事法を教えるつもりで、根気強く取り組みます。

するとマクロビオティックを知っている細胞が少しずつ体の中で増えてくるわけです。

これに従い、マクロビオティック実践にまつわる苦しみが減ってきて、体調の向上が見られるようになります。

そして二年後。「マクロビオティックを知ってるよ~」とにこにこ顔した細胞があなたの体のすべてとなり、マクロビオティック実践があなたにとって「異物」ではなくなるのです。

私は一年十ヶ月

コラム『マクロビオティック実践記』にも書いたように、私の場合、「マクロビオティックを自由に実践できるようになった」とはっきり感じるまで一年十ヶ月を要しました。

この「一年十ヶ月」という期間は、人間の体を構成する物質が入れ替わる「約二年」という期間に図らずも合致しています。

やはり約二年というのが節目になるのは間違いなさそうです。

二年は長い?

二年と聞いて、「え~、長すぎる!」とがっかりなさった方もいらっしゃるかもしれません。

ですが実際、「マクロビオティック実践を二年間」というのは「長く感じる」種類のものでもありません。

二年間の間に起こる心身の変化というのはそれは目まぐるしいものです。ぐんぐん成長する苗を育てているような楽しみがあります。

毎日変わっていく体調と精神を見つめていれば、飽きるということがありません。

なんだか最近、肉や砂糖を食べなくても平気だなあ。スナック菓子コーナーも平気で素通りできるなあ。前は誘惑がひどくて我慢するのが大変だったのに……。と思うようになれた頃、過ぎた月日をあらためて数えてみれば、マクロビオティックを始めてから二年が経とうとしていた……。そんな風になると思います。

二年経っても自由になれないケース

ただし、二年でマクロビオティックを自由に扱えるようになるには、「自分の意志で、自分で考えて実践する」という条件が必要になってきます。誰かに強制されたマクロビオティックだと、二年過ぎても自由にはなれません。

体調を改善させるだけなら強制的なマクロビオティックでも良いかもしれません。

しかし、マクロビオティックを自分のものにして、一生を共にしたいと思うのならば、もっとマクロビオティックに対し能動的で積極的な姿勢を持たなければいけません。

理論を学び、失敗を繰り返しながらも真剣に実践する。こうして本気でマクロビオティックと向かい合えたなら、二年後、マクロビオティックはあなたの体の一部、あなたそのものとなってあなたの人生を輝かせてくれるでしょう。

二年を過ぎたらどうなるの?

では、二年かけてマクロビオティックを楽に実践できるようになった後は一体どうなるのか?

これは、個人によって差があるでしょうが、私の場合、もう実践も勉強もしつくして新しいことがなくなったと感じ、マクロビオティック実践に閉塞感を覚えるようになってしまいました。(コラム『マクロビオティックに飽きるとき』参照)

マクロビオティック実践に新しい風を吹き込もうと実験的に他の健康法に手を出したりしているうちに体調を崩し、結果、マクロビオティックを巣立って自分だけの健康道を歩き始めることにしました。(コラム『マクロビオティック道の終点を迎えた経緯』参照)

つまり、マクロビオティックを楽に実践できるようになるというのは、その人にとってのマクロビオティック実践が終了したことを意味していると私は思っています。

マクロビオティックを終了させると言っても、食事の内容が大きく変わるわけではありません。変わるのは意識です。「私はマクロビオティックをやっていない」と自分に宣言するのです。

今までずっと開いていたマクロビオティックという教科書を、閉じます。そして食物を、完全に自分の意思で選んで食べていくのです。(コラム『マクロビオティックをやめるということの意味』参照)

より自由で楽しい食の境地がそこにはあります。

マクロビオティックを終えても、個々人の健康探究道は続いていきます。マクロビオティックに熟達したのなら、ぜひ、次の段階である自分だけの健康道に入ることをおすすめします。

次項:玄米を冷凍・解凍

次項玄米ご飯の冷凍保存、解凍の仕方は?(蒸し器、電子レンジ)では、マクロビオティック生活に欠かせない玄米ご飯の冷凍保存方法、解凍方法を写真入りで説明します。

(参考:*1伊藤悦男著『がん患者は玄米を食べなさい』p.24)