人付き合いに支障をきたさないか?

マクロビオティックで健康が確立できていれば何でも食べられます。確立できていなくても、さりげなく食べ物を選ぶことで人との摩擦は回避できます。

健康ならば何でも食べられる

マクロビオティックを始めると、特定の食材を敬遠したくなります。肉や乳製品、白砂糖などです。

そうなると、マクロビオティックを実行していない人との食事会などで支障が生じてくるのではないかと思われるかもしれません。

しかし、マクロビオティックをやっているからと言って、動物性のものを食べてはいけないわけではありません。食べられるのです。

『「健康」が確立されたら、まれに御馳走を頂いたり、珍味佳肴を飽くまで食べたってビクともするものではないのです。』(*1)

その「健康」を作るための道筋がマクロビオティックです。

『のめるけれど、飲まない。食えるけれど食う必要を認めないから食わないが、食わねばならない時がもしあったら、それを飲み、かつ食ってもビクともしない、というような体格を作るのが食養です。』(*2)

ですから、マクロビオティックをやっていればこそ、人付き合いでたまに好きなものを飲み食いしても健康が崩れないのです。

まだ健康を確立できていない場合

しかしながら、マクロビオティックを始めたばかりでまだ健康を確立できていない場合、やっと動物性食品を食べなくても平気でいられるようになったのが、ちょっと肉を口にしたせいで元の精神状態に戻ってしまう恐れがあります。

私にも経験があります。動物性食品をはじめとして、アルコールや化学調味料、白砂糖も一切とらずに三ヶ月ほど経過していたときのことです。

友人の結婚祝いに、フランス料理をご馳走しました。だいぶ体調もととのっているし、せっかく三ヶ月頑張ってきたのを途切れさせるのももったいないけれど、 ちょっとくらい大丈夫だろう……と友人と一緒にカクテルや肉料理、砂糖入りデザートを食べました。

そうしたら、それまで肉や砂糖やアルコールを取らなくても平気だったし取りたいとも思わなかったのに、そういうものへの志向性がぶりかえってきてしまったのです。凪いでいた湖に、巨大な岩を投げ込んで大きく波立たせてしまった感じでした。

ですから、好きなものを食べても精神を乱さない自信がない場合は、なるべくマクロビオティックの理念に沿った食べ物を皿の上から選んでor注文して食べる方が安全だと思います。

なるべくマシなものを選ぶ

酒ではなくウーロン茶を注文したり。フランス料理だったら野菜や魚料理(肉料理よりマシです)を注文したり。鍋物でも、野菜だけ食べる。焼肉屋では、ビビンパやクッパなどのご飯ものや冷麺、漬物を食べてはいかがでしょう。

カフェでは、ケーキではなく野菜サンドイッチやマフィン。コーヒーよりは紅茶。

そのとき、特に「マクロビオティックをやっているから」とは言わなくていいと思います。何か聞かれたら、「ウーロン茶の方が好き」「最近、コーヒーを飲むと体調が崩れるから避けている」「胃がもたれていてさっぱりしたものしか食べられない」などと言っておけば良いと思います。

ちなみに私は、白砂糖入りのケーキを食べないでいたとき、どうして食べないのかと聞かれ、「虫歯があってしみるから」と答えたことがあります。相手は納得し、それ以上問うてはきませんでした。虫歯があったのは事実なのですが、デザートの白砂糖を避けたいときの言葉としてはなかなか普遍的で説得力があると思います。

ストレートに、「健康のために白砂糖(or肉or乳製品)は食べないようにしている」と答えるのも良いかもしれません。

そのとき、白砂糖や肉を全面的に否定するのではなく、あくまでも「自分の体には合わない」という表現をするように心がければ、たとえ相手が白砂糖や肉好きな人でも角が立たないと思います。

マクロビオティックをやっていることを周囲に宣言するか否か

「マクロビオティックをやる」ということは、「食べ物を選ぶ」ということで、選ばずに何でも食べる人と比べれば確かに違いがあるかもしれません。

けれど、だからと言って初めから周囲に「マクロビオティックをやっている」と宣言する必要もないと私は思います。

あくまでも、「自分が何を食べるか」の問題ですから、周囲がどうあろうと自衛はできるはずです。何を食べたって、人の勝手です。周囲を気にせず、マクロビオティック的なものを選んで食べれば良いと思います。

選ぼうと思えば、案外、どんな場所にもマクロビオティック的な料理は存在します。たとえば居酒屋でも、ふろふき大根や揚げ出し豆腐など。

隠せというわけではありませんが、私自身は、周囲にとりたてて自分がマクロビオティックを実行していると言ったことはありません。

何か説明しなければいけないほど、マクロビオティックを意識した食形態は特異なものでもないのです。

(ただし病気療養のための厳格なマクロビオティックを実行している場合は、外食そのものを避けた方が無難だと思います。)

次項:菜食主義、ベジタリアンとの違い

次の項(菜食主義・ベジタリアンとマクロビオティックってどう違うの?)では、「マクロビオティック」と「菜食主義、ベジタリアン」との違いを説明します。

(参考:
*1、*2 桜沢如一著『食養人生読本』p.99)